トラウマだって乗り越えて...
2日目.1
次の日、焔が朝食を食べようとベッドを出ると、なぜか頬を赤く腫れさせた荊がリビングに寝ていた。
最初は放っておこうと思ったのだったが、焔はまだここの生活には慣れていないため、仕方なく荊を起こすことにした。
「荊。起きろ。お腹すいたぞ…」
「んー…。もうちょっとぉ…」
なかなか起きない荊に、焔は痺れを切らして荊の名前を呼びながら、なぜか腫れている頬を思いっきりつつく。
「けー…いっ!」
「いたぁぁぁっ!?」
あまりの痛さに飛び起きる荊。
その間抜け顔が可笑しかったのか、焔はコロコロと笑った。
荊は寝ぼけているせいもあり、何が起こったのかわからずにキョロキョロしていた。
そこに、コンコンッとノックが響く。
どうやら、部屋に客人のようだ。
焔は笑いながら、不用心にも何も確認せずにドアを開けた。
するとそこには、煌夜が立っていた。
◇◆◇◆◇◆◇
「で?なんでお前がここにいるんだ?」
焔はさっきの笑顔は何処へいったのか…と思うくらいじとーっとした目で部屋に入ってきた煌夜を睨みつけた。
しかし、煌夜はそんな焔は無視し、荊の方を見て言う。
「荊。お前に用があって来たんだ。ちょっと時間いいか?」
しかし、荊はまだ寝ぼけ眼でぼーっとしていて、聞いているのかいないのかわからない…むしろ目を開けたまま寝ているのではないかと思うほど、ピクリとも動かなかった。
そんな荊に、焔は
「おーい?荊?起きてるかー?」
と声をかけるが反応なし。
よっぽどお疲れのようだ。
そんな様子に煌夜は溜め息をつき、
「仕方ない。またの機会にしよう」
と部屋から出ようとする。
が、それを焔が引き止める。
「な…なぁ!お前、朝ご飯食ったか?」
「いや…。これからだが?」
その答えに焔はパアッと顔を明るくして言う。
「なら、仕方ないから食堂に連れて行ってやる!」
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