トラウマだって乗り越えて...
2
伊集院の話を聞き終わり、焔と荊は自分達の部屋に向かった。
焔は
「管理人さん…綺麗だな…。」
と荊に向かって言うと、
「…そうかな?まぁ…なんか管理人さん目当てで寮入るやつもいるみたいだからねぇ?」
とあまり興味ないように答える。
そんなやりとりをしている間に部屋に着いた。
すると荊は、さっきとは打って変わって元気に
「ここが俺達の部屋でーすw」
なんて紹介をしてくれたが、そんな事は無視し、焔は部屋の中に入った。
中を見回して焔は絶句してしまう。
そこは、入ってすぐに洋風のリビングが一室あり、更に各自の部屋が備わっていて、トイレとバスルームも完備。
明らかに普通のマンションより何倍もある部屋が目の前に広がっていた。
だからと言ってここの寮はそんなに高くない。
焔がぼーっと見回しているのを荊はにこにこと楽しそうに、「驚いた?ねぇねぇ?」などと騒いでいた。
「なんでここはあの値段でやっていけるんだ?」
が、荊の質問はいつも通りかわし、ふっと思った事を聞いた。
荊はえへんっとまたしても偉そうに話始める。
「俺の情報によると、この寮や学校には金持ちが沢山通ってて、その援助でほとんど運営出来るらしい!だから一般人の俺達の学費は安くて済んでるのさ♪お金持ち様々だよなぁ?」
「なるほど…。それで…。」
焔は謎が解けると、もうそのことに興味をなくしたのか、すぐ荷物の片付けに取りかかった。
◇◆◇◆◇◆◇
一方帰りのHRが終わってすぐ「用事がある。」と教室を出た煌夜は、考え事をしながら帰り道を歩いていた。
すると後ろから「にいさーん!」と聞き覚えのある呼び声がし、振り向くと凜と凜の数人の友の姿があった。
凜は友達に何か話した後別れ、煌夜の方へ走ってきた。
「凜…友達と帰って構わないぞ…?」
と煌夜は凜の心配をしたが、凜は
「ううん。僕は兄さんと帰りたいんだ。」
とにこにこして笑った。
煌夜は朝の夢を思い出し、(俺はこんな純粋な凜に嫉妬など…最低だ…)などと思っていた。
すると凜が「帰ろう♪」と煌夜の手をとったので、煌夜は凜の手を握り返し、そのまま帰宅した。
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