トラウマだって乗り越えて...
2
バタバタと教室をでて走ってきたはいいが、転校初日の焔が購買の場所を知っているはずもなく、迷子になっていた。
「ここ…どこだよ…(汗」
辺りを見回しても誰も見つからないため、取りあえず歩くことに。
すると、急にガタッと言う音が焔の歩いていた真横の教室から聞こえ、思わずビクッとなる。
(……なんだよ急に…ま…まさか……幽霊とかじゃ…)と思った焔はその教室をそーっと覗いてみた。
「てめぇ。それがどういうことかわかってんのか?」
『す…すみませんっ…』
「謝って済みゃ、警察はいらねぇよなぁ?あ゛ぁ!?」
いかにもガラの悪い奴らが可愛らしい男の子の周りを4、5人で囲い込み、その中の金のツンツン髪だけが机に腰掛け、可愛らしい子の前に座っている。
(け…喧嘩!?いや…弱いものいじめか…?とにかく助けなきゃ!)と思い焔が中に入ろうとした瞬間、焔の肩はガッと掴まれ引っ張られた。
その拍子にガタッという音がなり、中にいた奴らが
「誰だ!?」
とドアを開けるがそこには誰もいない。
「ちっ。聞かれたか?………まぁいい…。今度会ったら……」
そう言って中に戻って行った。
そのドアからすぐ近くだが死角になる場所で、煌夜は焔の口を塞いでいた。
バタバタと動いていた焔の肘打ちが鳩尾に見事にクリーンヒットした煌夜は、うっと小さく呻いてうずくまった。
その隙をついて焔が「なにしやがる!」と叫ぼうとしたが、煌夜はうずくまりながらも「静かに」と言うものだから、焔は出そうとした言葉を呑み込んだ。
焔の肘打ちの痛みが少し引いたところで、すぐさま煌夜は焔の腕を引っ張りその場を離れた。
購買の前に着くと煌夜は焔の腕を放し「さっきはすまなかった」と言って立ち去ろうとした。
しかし、焔は煌夜の袖を引っ張る。
「さっきの。なんだったんだ?なぜ助けない?お前は俺の邪魔をしたかったのか?それともいいやつなのか?」
焔はなんだか頭の中がぐるぐるとし、整理出来なかった。
そんな焔を見て煌夜はふっと笑い
「お前はバカだからな」
と小馬鹿にしたように呟かれる。
そんな煌夜の言葉にまたしても怒りを覚え、先程のことなど焔の気持ちから全て吹っ飛んで消えた。
「バカはお前の方だろ!それと……教室までの道わからないから教えろ…」
煌夜はまた馬鹿にしたように鼻で笑うと、無言でスタスタと歩きだす。
それを見て焔は購買でお昼を買うのも忘れ、慌てて煌夜の後を追いかけていった。
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