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気付いた現状







連れて行かれて暫くがたった。しかし未だに手を捕まれたまま、引きずられるように歩いていた。

ぶっちゃけ、暇だ。

そう感じたかなは、右にいる男に顔を向けて話しかけた。



「あの…すみません」

「なんだ。」


てっきり返事をしてくれない人だと思っていたのだが、以外にもすぐ返事がきたのでかなは驚いた。

暫く固まっていると、痺れを切らしたのか、さっさと言え、と手首を強く握られた。


「今から、どこに行くんですか?」


慌てたようにそう言えば、あぁ、と男は声を漏らした。







「研究室だ」



その言葉と前方の扉が開かれたのは、同時だった。

















────酷い。




その一言に尽きた。


そこら中に散らばる紅

棚には沢山のモノが押し込まれるように入っていた。医療用具に見えるが、血にまみれたそれは到底医療用具には見えない。

部屋の隅にはまだ10にも満ちてはいないだろう、小さな子供達が怯えながら縮こまっていた。







「トニー!!」


トニーと呼ばれた少年が血を流し倒れた。子供達は、涙を流しながらそれを悲しそうに見つめた。


「この調合でもダメだな」

「火薬の量が多すぎたのかも」


ファイルを手にし、冷徹に言葉を吐いた大人達。


「トニー!トニー!!」

「騒ぐなお前たち」


子供達はトニーに駆け寄ろうとしたが、ツギハギだらけの男が銃を取り出したため動くことはできなかった。




「特殊兵器の開発は地に堕ちたオレ達が再び栄光を取り戻すための礎だ。開発に携わり死ぬことは名誉なことと思え。」



トニーと呼ばれた少年は、もう二度と動くことは無かった。





「おい、このガキか。新しい実験体ってのは」

「あぁ。そうだ」

「じゃぁ、あの実験を今からするぞ」





グイ、と手を引っ張られたかと思うと、背中が何か堅いものにぶつかった。一瞬呻き声を上げたが、目を後ろに移す。

かなが倒れたのは、先ほどトニーが乗っていた、手術台だった。




たらり、と嫌な汗が背筋を滑った。




「あったぞ」

「よこせ」



一人の男の手にあったビンが、自分の脇に立っていた男の手に渡った。



「……!」



ビンに浮かんでいたのは、










──────紅い紅い、"六"と刻まれた、眼球。






その瞬間、理解した。



──実験

──特殊兵器の開発





──六の眼球







ここは、あの大好きだったリボーンの世界…。


そして自分は、














(…六道骸…)









「……クフフフ……」



取り出された眼球を見て、思わず笑った。










気付いた現状

(私…いや、"僕"は六道骸になった…)
(けど、もう遅かった)






それからは、激しい痛みが僕を襲った。









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あきゅろす。
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