気がつけば、
「ん……、」
パチリと目が覚め、かなはムクリと体を起こした。欠伸を一つし、目を擦ろうと手を動かす。
が、
───ジャラ
「…ん?」
何か、鉄のような物が動いた音がした。不思議に思い、かなはショボショボする目を自分の手に向ける。
「……鎖…」
SM、と言う言葉が一瞬だけ、一瞬だけ頭に浮かんだ(本当に一瞬だけ!)
しかし、それはない、と思い頭を覚醒させるべく勢いよく振った。少々クラクラしたが、これで正しい結論に辿り着けるはず。
…しかし、結果は変わらず。自分の腕には重苦しい鎖があるだけだった。
「私何かした…?」
捕まるような事はしていないのに………多分。
独り言のように見えるが、今のかなにそれを気にする余裕は無かった。
それもそうだろう。
突然目が覚めたと思えば鎖がin手首。驚かないほうがおかしいくらいだ。
暫くして落ち着いてきたのか、ぐるりと部屋を見回す。
コンクリートでできた部屋のようで、全てが灰色だった。
うわぁ、などと思っていると、突然ガチャリと言う男がしたので、音源を確かめようと首を動かした。
「───コイツか?新しい実験体は」
中年の…40くらいだろうか、2人の男が入ってきた。
2人は、研究員を連想させるような、薄汚れた白衣を纏いかなに歩いてくる。
気持ち悪そうにかなはそれを見つめた。
「そこら辺うろちょろしてたから連れてきたんだ」
「実験体が増えて良かったよな」
(…マジで研究員?てか私実験体デスカ)
下品に卑らしく笑う2人に、かなは眉を寄せた。
どうやらかなは実験体らしい。今着ている服も実験体が着るようなみすぼらしい服だった。
すると研究員の1人がかなの腕を掴み、軽々と持ち上げた。
「…!?」
かなは驚きのあまり目を見開いた。現在、かなは高校生だった。女子なので男子より軽いとは言え───小さな子供のように持ち上げられる訳がない。
だが、研究員は子供を持ち上げるかのようにかなを持ち上げたのだ。
─────子供?
フと、かなの頭に単語が横切った。
よく見てみれば、いつより目線が低い。男達がでかいだけなのかもしれないが、男とかなの差は約70cm。あまりにも差が大きすぎるので、それはなかった。
じゃぁ、何故?
(私、子供になってる…)
ここで、気が付いた。
そうか、私は子供になっていたのか。
普通ならこんなファンタジアな考えに辿り着く筈がない。…だが、かなは違うようだ。
子供になるなんて…、かなはカクリと頭を下げた。
そのせいか、髪の毛がパサリと目に入った。
(……藍色…?)
目に入った髪色は藍だった。かなは立派な純日本人なので、藍ではなく黒のはずなのだ。
しかし、髪色は藍だった。
参ったな…、とかなは空いている手で頭をかいた。
フサァ
「…っ!!?」
手に触れた感触は、丸い後頭部ではなく、…何か、フサフサしたものが頭についているような、そうな感触だった。
(あり得ないあり得ないあり得ない!!)
一瞬ある人物が頭に浮かんだが、それはすぐに消えた。
そして、かなは連れていかれた。
気がつけば、
(研究所でした)
(…マジでありえねー!)
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