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信じられる人






全て、話した。






生まれ変わったこと、
女ということ、
雲雀恭弥じゃないこと、





漫画の事を抜いて、全て。








「――――と、言うわけです…。バカみたいですよね、こんな話し…信じられませんよね。


話し、聞いてくださってありがとうございます、それでは…、」





失礼しました、と言う瞬間、









「あなたの"本名"は?」












「…え…?」


「だから、あなたの本名は?何?」



「え、あ…和泉恭、です……。」







和泉恭…久しぶりに、名前を口に出した気がする。



…懐か、しぃ……。






「ん、恭ね。



…誰が信じないって言ったの?」


「え、…言って、ない、です…。」


「…信じるわよ、私。」






息が、止まった気がした。



何て言ったの?
信じるって?
誰が?
先生が、僕を…?





不意に感じた、背中の温もり。

目前にある、先生の首あたり。







「辛かった、よね。…恭……。」


「っあ…、…ッ。」



景色が、霞んできた。





「泣いていいのよ?今まで我慢した分、全部…。」

「ッ…う、



…ぅわあぁああぁぁあ!!」






頬が、濡れた。













「う、っひッく、もっと、生きたかったッ!」

「うん。」

「いっぱい遊んでっ、彼氏作ってッ、幸せになりたかった!」

「…うん。」



「雲雀恭弥に、なりたくなかった!!」


「…うん……。」




「なんで僕なの?なんで僕が雲雀恭弥にならなくちゃいけないのぉッ…!!」




「うん、そうだね…恭…。」









先生は、泣き叫ぶ僕の背中をただただ叩いてただただ頷いてくれて。


僕は、思いを吐き出した。









「みん、なッ、雲雀恭弥って呼んで、誰も名前を呼んでくれない…!!」

「呼んであげる。私がよんであげるよ


…恭…。」









この人を、先生を、信じたくなった。








[*書類整理][咬み殺す#]

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