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今日は調子が悪かった。

頭がズキズキと刺すように痛み、息をする度に喉が痛む。その上体がだるくて息があがって辛い。

もしかして、風邪…?

雲雀恭弥として生まれたこの方恭は一度も風邪をひいたことがなかった。きっとそれは毎日のトレーニングのお陰で丈夫になったからだろう。…だから、具合が悪くなるなんて思わなかった。
しかし、現在進行形で具合が悪い。焦点が定まらず、足元がおぼつかない。

あぁ、沢田達が起こす問題のせいかもしれない。
彼等が毎日のように問題を起こしてくれる為、書類がたくさん僕の元にくる。原因は赤ん坊だが、それを知ったところで書類が減るわけでもなく、…寧ろ増えるばかりだ。
そのお陰で、ストレスや寝不足で悩まされていた。
しかし、風紀委員長に休みは無い。
多忙な毎日に疲れが溜まったことで、今の状態になったのだろう。


つーかマジで頭痛い。





ヤバい、病院に行かなくちゃ。









ついに限界を迎えたのか、恭の体は頼りなく、

――――フラリと倒れた。



「ッ委員長!?」


お茶を持ってきた草壁の声を聞きながら、意識は闇の中に落ちていった。









次に目覚めたのは、病院だった。

真っ白い天井に真っ白いシーツ、床。全てが白で統一されていて、清潔感が感じられる。しかし、ここまで白が多いと逆に気分が悪くなる気がする。

だるくて体は動かなかったので、目線だけを動かした。服装は、いつも家で着ている黒のパジャマだった。
僕は学校で倒れたはずだから、パジャマなんて持ってなかったのに…、まさか、誰かが持ってきたとか?





「あー、やっと起きたなコノヤロー。」




突然病室に響いた声。ドアの方に顔を向けると、泉先生がいた。



「草壁君がここに運んだらしいのよ。」


「…このパジャマは、泉先生が持ってきたの…?」


だるくて喉が痛くてしゃべりにくい。





「そうよ。"委員長が倒れた"なんて言ってたからすっ飛んできたのに…、アンタ寝てたのよ?ずーっと。」




せっかく早く来たのにー、とぼやく先生を見ながら「ごめん」と呟いた。
もっとしっかり泉先生を見たいのに、体は意思に反して動かない。チッ、と舌打ちをした。



「そうそう、さっき院長が相部屋に移動してほしいって言ってたわよ。」

「…そう。でも、体動かな、うわっ!」



突然細い腕で引き寄せられ、目を見開いた。背中に乗せられると、泉先生はこっちを振り向き、「運んであげる」と言った。


「あなた、本当に女性?」

「恭は男でも細いから大丈夫だよ〜」



意外に力持ちな先生に驚きながら、僕は先生の背中に顔を埋めた。



「あったかい…。」


















しばらく歩いていると、相部屋らしき部屋が見え、そこに入っていく。ベッドに乗せられ、布団をかけられた。「じゃぁ、私は学校に戻るね」と言うと、先生は病室を出て行った。


相部屋だからか、病室には何人か人がいた。
ゆっくり眠りたいため、僕は声を絞り出し、彼らに言った。




「…ねぇ」

「「「(ビクッ)は、はいッ!?」」」

「今からゲームをしよう。ルールは簡単、僕が寝てる間に物音をたてたら、咬み殺す。」


これなら静かに眠れるだろう…。

それだけ言うと、僕は目を閉じた。



さて、彼等はゲームをクリアできるだろうか?











[咬み殺す#]

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あきゅろす。
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