[携帯モード] [URL送信]




どくん、どくん




心臓が五月蝿い。






「京、子…。」



声が掠れる。



どうして、ここに来たの?




突然腹部に軽い衝撃が走る。見てみると、京子が恭の腹部に手を回し抱きついていた。

…少し、嬉しく感じた。



「恭弥、…怒ってる?」




久しぶりの京子の暖かさ、声。嗚呼、懐かしい。こんな傍で聞けるなんてあの日以来だ。



「…なんでそう思うの?」

「…あの日、私は恭弥に酷いこと言ったんだよっ?」




あの日、か。




「…確かに、凄く悲しかったよ。」


ビクリと、京子が震えた。回されている手に力が込められる。








「でも、僕は全然怒ってないよ…?」

「ッ、…う…っ」


京子の目から涙が零れる。




「京子こそ、怒ってない?…僕のせいで了平を、助けられなかったこと。」

「恭弥は悪くない!悪かったのは、私、だよ…!」



ごめんなさい、小さな声で呟かれた声はしっかりと恭に届いていた。



――恭弥は悪くない。



(その言葉で、鉛のように重かった僕のココロが、どれだけ軽くなったのだろう?)






「京子だって、悪くないよ…?


ありがとう、京子。」

「っ、うわぁぁぁん!!」

「ほら、泣かないの。中学生でしょ?」

「恭弥だって、ヒック、泣いてるよっ…、」

「…汗だよ。」





そう言えば、あはは、と笑ってくれた。
久しぶりの、笑顔。





「恭弥、だいすき!」

「僕も、京子がだいすきだよ。」





ニッコリと笑う彼女を、恭は力強く抱きしめた。それに京子も応える。




―――数年ものの溝は、埋まった―――








「京子ちゃんと、…雲雀さん…?」


抱きしめ合う二人を、誰かが見ていたことは…本人しか知らない。




(京子、廊下を走ったね。風紀委員長として見逃せないよ)
(あっ…)
(…ずっと僕を好きでいてくれるなら、見逃してあげるけど?)
(ッ、恭弥大好きー!)








あれ、京子ちゃん夢?

見てた人は言わずと知れたあの人です!





[*書類整理]

6/6ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!