5
恭弥、ごめんなさい
あなたは悪くない
なのに…、私は…
(…悪いのは、私だ…)
―――――‐‐‐
*side京子*
私は走った。
恭弥のいる応接室へ。
―――あの時、私は感情に任せて言ってしまった。ちゃんと考えれば、分かるのに。
恭弥は、助けようとしてくれた。
なのに私はそれをっ…!
「恭、弥ぁ…ッ!」
流れる涙を拭いながら、もつれそうになる足を進める。
久しぶりに、恭弥の姿を見てしまったからだろうか?
ここまで鮮明にあの日の事を思い出すなんて…。
――…、余計な事を考えてる暇は無い。今はただ、恭弥の元に向かうだけ。
京子side終
―――――
「京子……、」
(もう…数年前のようには過ごせないのかな…?)
恭はくしゃり、と頭に手を当てた。
その時だ。
タッタッタッタッ……、
廊下から、走るような音が聞こえた。
最初は草壁かと思ったが、足音は軽く、草壁のような大きな男が走っているような音では無い。
なら、誰だろうか?
足音の軽さからすると、小柄な男子、または女子か…――――。
(でも、風紀を乱すなら咬み殺すだけだ。)
恭はトンファーを手にすると、廊下に出ようと席を立った。
(相手が京子なんて知らずに。)
バンッ
扉を開けようとしたが、それは廊下を走っていた人物が開けた。恭の手は空を切り、行き場を失う。
「ッきょう…、こ。」
「恭弥…ッ!」
廊下を走っていた人物は、自分が先程まで考えていた人物だった。
(嗚呼、どうすればいいの?)
[*書類整理][咬み殺す#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!