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side了平
京子が俺を訪ねに来たのは昼休みの事だった。
ガラ…
「あの、お兄ちゃ……、笹川了平はいますか…?」
ドアが開いたと思い、目線を向ければ京子がいた。どうした、と問えば、ちょっと来て、と廊下へ引っ張られた。
昼休みだというのに、廊下に人はいなかった。少々気味悪く感じたが、京子を見れば、深刻な話しだということが分かるので、人がいないのはありがたかった。
「…どうした?悩みなら極限に聞いてやるぞ。」
「…あのね、恭弥の事かなん何だけど…。」
深刻な表情と恭弥の話し。この二つの言葉で、京子が何を言いたいのか分かった。
それと同時に、"あの日"の事が頭を横切る。
「気を病むな、と…言ったぞ。」
「……だって、恭弥は何も悪くないのにっ…、」
フルフルと肩を震わせ、悲痛に歪んだ表情を見せながら、京子は自分の首に触れた。
そんな京子は、今にも泣き出しそうで。
「ヒック…うっ…、」
ついに泣き出してしまった京子。そんな京子の姿を見ていると、心臓を掴まれたように痛んだ。
「京子、お前は悪くない。恭弥だって、悪くないぞ。」
「つ、うっ…ひっく…、」
京子の震える肩を握りながら、もう片方の手で背をあやすように叩いた。
「そんなに嫌なら、恭弥の所に行け。」
こくんと、京子は力無く頷いた。
[*書類整理][咬み殺す#]
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