1 昨日から、ずっと雨が降り続いていた。洗濯物が乾かない!と泉先生は叫んでいた。…実際洗濯したのは僕なのだが。 雨だったので恭はバイクではなく、傘をさして登校していた。まだ7時なので、登校している生徒はいなかった。 ザー…… 雨は未だに降っていた。 人が登校しだしてきた時刻、恭は一人応接室で書類整理をしていた。 フと、窓の外に目を向ける。 そこには恭の嫌いな草食動物達がたくさん歩いているのが見える。 その中で一際目立つ、明るい茶色に近い髪色。 そこには幼なじみ、妹のような存在の彼女、京子がいた。 恭の目線は自然と京子の首にいく。 そこには、一筋の線があった。 「…京子………ごめん。」 彼女の首に残った、昔の傷跡が恭の心を締め付けた。 恭は眉をしかめながら、窓際に立ち、京子を見るのではなく空を見上げた。 雨は、激しかった。 「…きょーや………。」 空を見上げた恭は気付かなかった。 …自分を悲しげに見つめる、彼女の視線に。 補足▼ 京子の首は傷跡が残っています。理由は後程。 [咬み殺す#] [戻る] |