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「でもさ。」


恭は死体(仮)を足でゴロリと転がす。揺れた拍子にコポリと口から紅が零れる。ひぃ!と悲鳴を上げる綱吉にリボーンはうるせぇ、と蹴りを入れた。





「本当に死んでるのかい?コイツ。」

「…どういう意味だ。」



ピクリ、とリボーンの眉が動いた。






「…ホラ、見てみなよ。」

恭は死体(仮)の前にしゃがみ込んだ。
そして服の裾を掴み、グイ、と首あたりまで持ち上げた。



「チッ。」


リボーンが黒塗りのボルサリーノを掴み、小さく、周りに響かないくらい小さな舌打ちをする。彼には誰にもバレていないと思っているが、生憎恭にはバレていた。



「心臓に穴が一つもない。それどころか怪我一つも無い。」

「あっ…!」




服を捲り上げ、心臓あたりを指さすとようやく気付いたようで。目を見開いて患部だったと思われる場所を凝視した。
恭の言うとおり、そこには傷一つなかった。



「コイツは生きている。


―――そうでしょ?赤ん坊。」

「…だが、ソイツの心臓は止まってる。ついでに瞳孔だって開いてんだ。

…どうする?」



「君は僕をバカにしているのかい?」








まだ気付いてないとでも思っているのか。

彼は表情を崩さない。
恭は不適な笑みを浮かべ、トンファーを構えた。









「――――こうするさ。」




ビュッ、とトンファーを振り下ろした。




(危ない…っ!)



その光景に綱吉はギュッと目を瞑った。

死体(仮)は動けるワケがない。
故に、反撃、ましてや防御も不可能だろう。





―――紅が飛ぶ。





誰もがそう思った。


ガッ!
鈍い音がした。恐る恐る目をあけた。目にはいるだろう惨劇を覚悟して。


…だけど、そこには紅など一切なかった。それどころか、死体すらなかった。
あるのは、恭のトンファーとヘコんだ床だけ。







「いやー、危なかった!」


「ホラ、ね。」

「………………。」



死体の代わりにいたのは、――――先程の死体と思われる、男。

しかも動いて喋っていた。








[*書類整理][咬み殺す#]

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