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いつもどうり、僕は学校から帰って来てから夕飯の準備をしていた。以前に泉先生の作った料理が黒こげだったため、僕が夕飯を作ることになっている。泉先生は今年で26歳、そろそろ身を固めるか花嫁修業(主に料理)でもした方がいいのではないだろうか。料理ができないと主婦としてやっていけないと思うのだが。

調理を始めて早一時間。
ガチャ、と玄関から音がする。同時に脳天気な声がしたのですぐに泉先生だと判断し、おかえり、と言って炊飯器から離れる。

今日は並盛小での仕事が早く片付いたのか先生が帰ってきたのは7時だった。
早いな、などと思いつつ泉先生が放り出したバッグを回収する。玄関に目を移せば散らばった淡いピンクのハイヒール。呆れを含んだため息をはいてハイヒールを並べた。



「ねーねー、恭!今日の晩御飯なにー?」

「米。」

「いや、おかずは!?ふりかけも韓国海苔も無い真っ白な白米だけだったら私泣くよ!?」




恭の美味しいご飯の為に早く帰ってきたのに!と騒ぐ泉先生に僕は冗談だよ、と言えば笑った泉先生。


「今日は焼き魚と浅利のスープ。」

「…秋刀魚(さんま)の骨、取った?」

「焼き魚なんだから取るわけ無いでしょ?」




料理ができない上に未だ秋刀魚の骨が取れない泉先生。泉先生曰わく、秋刀魚は骨が多すぎる!らしく、毎回秋刀魚が出ると骨は取ったか聞いてくるのだ。
刺身だったら骨は取ってあげていたのだが、焼き魚なので取らない。




「ホラ、スウェット。」

「あ、ありがと。」




スーツ?姿で夕飯は変なので、いつも泉先生が使っているスウェットと手渡す。お礼を言うと泉先生はバッと豪快に服を脱ぎ始めた。




「!!!」

「も〜、何真っ赤になってんのよ。恭は元は女の子でしょ?」




従来僕は人の裸が苦手だ。何故だかは分からないが妙に恥ずかしいのだ、例え同性(女)でも。





「…っ僕は人の裸が苦手なの。」

「あれ?じゃあ体育祭の綱吉君のパンツ姿は平気なの?」

「…だって、よく見えなかったし。」



因みにこれは本当だ。ちょこまか動いているせいか、肌はあまり目に入らなかったのだ。


変な会話をしているうちに泉先生は着替え終わっていた。
すぐに台所から箸を二人分持ってくる。ピンクの箸が泉先生、黒の箸が僕のだ。
パチンと机に箸を置き、座布団に座った。



「「いただきます。」」



箸を手に持ち魚に手をつける。
そして自然と始まる会話。






[咬み殺す#]

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あきゅろす。
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