4 「え…?」 一瞬、幻聴かと思った。 「恭弥がもっと早くお兄ちゃんを助けていれば、こんな事にならなかったのに。ねぇ、恭弥は強いんでしょ?強い人にも勝っちゃうんでしょ?なのになんで…!」 お兄ちゃんを助けてくれなかったの!? 気付けば、走り出していた。 京子が言ったことが、 「嘘だ…、」 信じられなくて。 「嘘だ…、」 気付けば、涙が頬を濡らしていた。 了平が怪我したのは僕のせい? 僕がもっと早く助けていれば、怪我しなかったの? そうすれば、京子にあんな事言われなかった? その日から、僕はずっと京子を避けていた。 また、言われるのが怖くて。 首に残った傷を、何か言われるんじゃないのか? 恭弥が助けていれば、これは無かった。 そう言われるのが怖くて。 そのまま、月日は過ぎていくのだった…―――。 (ごめんね、京子。) [*書類整理][咬み殺す#] [戻る] |