増えた?
「そう言えば恭弥。」
「なに?」
目の前でボクシングのラッシュ?をしている了平。ビュッと風を切る音がした。僕はというと、今朝母さんが作ってくれたハンバーグを口に入れていた。作ってくれた理由はいとも簡単。「恭弥が好きだから。」だそうだ。
さて、彼は何を言おうとしているのだろうか。
ハンバーグを運ぶ手を止め、彼に向き合う。
そうすると彼も此方を向いた。
「最近笑う事が増えてきたな!」
口から発された言葉は、僕の考えていた内容と大きく違っていた。
笑う事が?
…心当たりは、ある。
きっと(いや絶対。)泉先生のおかげだろう。
名前を呼ばれたその日から、僕は前の僕を思い出してきた。
向こうの世界ではよく笑っていて、明るい子と通ってきた僕。
…それが、こんな風になるなんてなぁー…。
「そう?」
「あぁ。笑顔が自然になっていたぞ!」
「…ふぅん。」
ちょっと、こっぱずかしいかも…。
「何を恥ずかしがっているのだ!良いことではないか!!」
グサリと何かが刺さる。…図星、だ。
現在地は笹川邸。
了平と京子曰わく「遊んで」いる。
「ねーね、恭弥!!何する?」
「京子がやりたいのでいい。」
目の前で笑う京子。
「本当!?じゃ、絵本読んでー?」
「いーよ。」
…幸せ、なのかな?
そう思った、今日この頃。
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