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保健の先生



広がる廊下。
いくつもある同じ窓、壁。

向かう先は保健室。


「痛いな…。」


先程殴られた頬が痛む。だんだん腫れて熱を保ってきた。咥内には広がる鉄の味。多分切れたのだろう。


「失礼します。」


ドアをノックし、開けると微かに漂う消毒液の匂い。


「どうしたのかな?」


イスに座っている保健医の名前は川平泉。昨年この学校の保健医になったそうだ。


「…頬、痛いから氷ください。」

「! ちょっと、大丈夫なの!?ちょっと待っててね。」


僕の頬を見るなり消毒液やらピンセットやらを取り出す。

消毒液を綿(何て言うんだっけ)に付け、ピンセットで挟む。


「じっとしててねー。」

「痛ッ…!」



ちょ、滲みる滲みる!ヤバいんだけど!!もっと優しく…!

一見優しくしているように見えるが、される側はものすごい激痛を味わっている。

…消毒液、恐るべし。





ペタッ

「はい、終わり。もう大丈夫よ。」

「ありがとうございます。」


さっきまではものすごく痛かったけど、今はそこまで痛くない。
…スゴいな。

「あとは、この氷で冷やしなさい。」

はい、と氷嚢のようなものを渡された。

…そろそろ戻ろうかな。
そう思い、僕はイスから立ち上がり、ドアに手をかけた。



「えと、じゃあ失礼しました。」

「待って。」



開けようとした瞬間、呼び止められた。何かしたっけ?と思いつつ後ろを見ると、そこには真剣な顔の先生がいた。



「少し…聞きたいことがあるの。」


いいかしら、と言う先生はどこか威圧感があった。…腹黒ですか、先生。腹黒属性だったんですかァ!!


「わかりました。いいですよ。」



そう返せば、先生はニコリと笑った。







[*書類整理][咬み殺す#]

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