離したくはない
大和の家
ザ・男の部屋。
その言葉の通り、雑誌やら服やらが部屋中に散らばっていて汚い。
「ちっとは片付けろや」
「はは、悪りー悪りー」
飲みかけのペットボトルが何本も置いてある。
潔癖症ではないが、少し几帳面な性格の俺的には気になって仕方がない。
まあ、男の部屋なんてこんなものか。大目にみよう。
「てか、1人暮らしなんだ」
「そだよーん、言ってなかったっけ?」
「うん、多分」
意外と家に遊びにきたのは初めてだった。
とりあえず、コンビニで買ってきた酒やつまみを机の上に置くと、大和はゲームの準備に取り掛かる。
その間にこっそりと本などを片付ける。
「うわ、片付けてるし」
そんな俺に気付いて大和はケラケラ笑った。
「座れねーんだよ」
「悪いね。ついでに洗濯もしてくんねえ?」
「近所迷惑だろ」
「大丈夫、大丈夫」
「つーか、その前に何で俺がやらなアカンねん」
「何で関西弁やねん」
へらへら笑う大和に「おい」と思いながらも洗濯機に服をぶち込めば、満足そうに酒を作っていた。
本当に面倒臭がりな面倒臭い奴だ。
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