離したくはない
アルバイト
「宮田ー、この後カラオケ行かない?」
バイトの真っ只中。
バイト仲間の犬塚 大和(いぬづか やまと)は笑顔でそう言ってきた。
「いいよ」
俺は、そいつに向かって親指を立ててニッと笑う。
これが、最近の俺の日常。
「なに歌おっかなー」
「早く決めろよ」
俺の名前は、宮田 夏樹(みやた なつき)。
現在18歳で学年で言えば高校3年生にあたるが、学校にも社会にも出ていない、言わばフリーターというやつだ。
1年前までは学校に通っていたが、ある理由で中退。
親は息子に高校ぐらいは出ていて欲しかったようで「ちゃんとしなさい」と口うるさくて大変。
そんな時に始めたコンビニのバイトで知り合ったのが大和だ。
大和も俺と同じ中退組の同い年。
だからか、すぐに仲良くなった。
大和は正直、適当過ぎる男だ。
店長が居ない日は、食べたい商品を勝手に廃棄処理し食べだしたり、すぐにたばこを吸いに行ったりする。
接客態度もダラダラしていてやる気を感じられないから、完全によろしくないだろう。
だけど、面白くて明るいから一緒に居ると楽しい。
大和と同じシフトの日が俺は1番好きだ。
「女欲しーッ!!」
「…うるせえ」
いきなり大和がマイク越しに叫んだ。
俺は慌てて耳を塞いで笑う。
「だってだってだーって!ずっとセックスしてねぇもん!マジしたい!」
「知らねーよ」
そんな接客態度がよろしくない大和だが、顔だけはかなりよろしいのだ。
ジャ●ーズに居そうな感じのイケメン。
そんな顔をしているから超モテる。お客さんからの逆ナンを何度も目撃した。そんな恵まれた環境に居るせいか、あまり長続きはしていない。
ついこの間まで、めちゃくちゃ可愛い子と付き合っていたのに別れたなんて勿体ない。
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