離したくはない
2
「なに買う?」
「あ、このワン●ースのやりたい」
「全部何気に高けーな」
「…聞けよ」
結局、バイト終わりに2人でソフトを買いにきた。相変わらずのマイペース(自己中)っぷりを炸裂させている。
「で、宮田は何がいいの?」
「だから、ワンピ…」
「あー!マ●オって、CMで観たことある」
「…もう疲れるお前」
アイツと出会って、失ったモノがある。
…友情と愛情だ。
俺は、1年前まで男と付き合っていた。
だけど、ゲイではなくて、ただ好きになった相手がたまたま男だっただけ。それまでは、普通に女の子が恋愛対象だった。
アイツは特例で…俺は、かなり惚れていた。
アイツとの出会いは、高校1年生の頃。
・
・
「(うわ、何事だよ)」
学校の不良と呼ばれる奴等が、部外者を学校に連れてきて、少し問題になった事があった。
ソイツは、金髪で背が高く遠くから見ても分かる位の美形な男。
どうやら、不良たちのボス的存在のようだった。
「…ちょー怖えーんだけど」
「でも、すっげぇイケメン」
「関わらなきゃ大丈夫でしょ」
遠くから友人たちとコソコソ傍観していると、目が合った…ような気がした。
でも、距離もだいぶ離れていたし、まさかと思い顔を背けたが、友人たちの表情がみるみる青ざめていき気付いた時には俺は肩を掴まれていた。
「お前、俺の女になれ」
それが元彼氏…ユウヤとの初めての会話。
最初は、勿論何の冗談だと苦笑した。
遅れてやってきた不良たちも「マジすか?」と驚いていたくらい。
そこからよく分からないまま、俺はユウヤと付き合うはめになってしまった。
「何で…お前なんだろな」
「俺も知りたいっすよ」
ユウヤは、不良たちからしたら憧れの存在だったらしく、俺の知名度は一気に上がった。
やんちゃしている生徒もうちの学校では少なくなく、皆のすれ違う度に「何で?」の顔が今でも思い出される。
きっと、こいつの気まぐれだ。
俺みたいな不良でも美形でも何でもない、ただの普通の男に構うなんて、ありえない。
1週間くらい…いや、1時間か?
そんなことを考えながら、気付けば恋人関係になって1ヶ月が経っていた。
ただ、1つの誤算は…俺がユウヤのことを本気で好きになってしまったこと。
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