離したくはない
4
「宮田弱すぎて相手になんないんだけど」
「…うっせ!」
結局、逆転どころか追加点まで入れられてしまい見事惨敗。仕方ないだろう、俺はこのゲームを持っていないのだから。
だが、たかがゲーム、されどゲーム。
一応は真剣にやったのだから、悔しくてヤケ酒だ!とお酒をグイグイ飲んだ。それを見て大和は大爆笑。
「宮田、今日泊まってくか?」
「あー…いい?」
「1泊2万やでー」
「じゃあ、タクシー呼んだ方が安いわ」
少しいつもより飲み過ぎたかもしれない。
頭が痛くてふわふわした気持ちになる。
顔を真っ赤にさせながら時計を見れば、もう夜中の3時を回っていて大和の家に泊めさせてもらうことにした。きっとこの状態で帰っても、道端とかで寝ちゃいそうで逆に危険な気がするからな。
「じゃあ、飲むぞー!大和ももっと飲め」
「この酔っ払いが」
決定してからは、更に酒のペースが進む。
ヘラヘラしながら大和にも酒を勧め、どんどん口に流し込んでいく。今日は酔っぱらいたい気分だ。
アイツを思い出してしまったから。
だから、忘れる。
記憶がぶっ飛ぶまで飲んでやる。
そして、そのまま…アイツの記憶だけがすっぽりと頭から消えてしまえばいいのに。
気付けば、夏樹は眠りについていた。
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