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阿部


私の幼馴染みは今日も絶賛無愛想中。
ほら、水谷とかすっごく睨まれてるし、
ほらほら、阿部君いますか?とか、ん?
阿部君いますか?
もしかして私今誰かに話しかけられてんの?
我に返って自分の後ろを振り返れば、そこにはそれはそれは可愛らしい、お人形さんみたいな女の子。
目はクリクリしててぱっちりしてるし、化粧してないけど睫毛長いし。
肌なんか真っ白だし…
私なんか………遺伝子の違いってこわっ。



「あ、あのー…」
『あぁ!阿部ね、ちょっと待ってて、呼んでくるから』
「す、すみません…」



可愛い。声も、性格までもが可愛い。
いいですか世の中のブリッコ女子よ?
あぁいうのが本来の可愛さで。
あぁいうのを可愛いって言うのよ。

そしてなぜ隆也みたいなのがいいのか!
お人形ちゃん…世の中にはもっと良い男がわんさかいると思うよ?私は。


うちの幼馴染みは、やたらモテる。
でも私にはそれがまったく意味わからない。
ほんっとーにわからない。


『隆也、ほんとにほんとに可愛い女の子が隆也を指名してる』
「うぜー」



ほれみろ。
こんな口悪い男の何処がいいんだ。



『…いやいやまじで可愛いコ。本当に』
「女の可愛いなんて信用出来ねぇよ」
『五月蝿いわね!まじで可愛いっつってんの!しかもあんたを呼んでんの!さっさと行け!!』



しまいにキレて怒鳴った私を、隆也は物凄い勢いで睨んだ後 舌打ちをして椅子から立ち上がった。


ったく態度の悪い事…


気だるそうに教室を出ていく後ろ姿に心の中で舌打ちしたら水谷が話しかけてきた。



「よく平気だよね…」
『慣れよ慣れ。つーか水谷男のくせに貧弱すぎ』
「それ傷付くんだけど…」



それが貧弱と一言溢して自分の席に着くと、隆也が機嫌悪そうに私の前の席に座った。
因みにその席は水谷にのもの。



「お前さ、あーゆうの断れ」
『別にいいじゃん。青春じゃんよ』
「そんな青春いらねーよ」
『‥つまんねー男』
「…」



ここで眉間に驚くぐらい皺寄せて、私を睨むんだろうけど…
慣れている私にとって大した事じゃない……はずなのに…何よ、その切なさ満点ですみたいな顔は…




「その鈍感さに呆れる」
『はぁ?!』



隆也はまじで呆れた顔をして私から視線を反らす。


意味がわからない。


そう思って頬杖をつこうとした時だった。
隆也がとんでもない事を言い出したのは。



「オレはお前以外の女に興味ない」
『は…?』
「だからお前が好きだっつってんの!鈍すぎんだよお前!」
『…どこをどうしたらそんな事に…』



意味わかんない、わかんない、わかんない。







「気付けよ馬鹿」



隆也は水谷の席から立ち上がると私の机に手を乗せて、そのまま体を屈めて私の顔に自分の顔を近付けて…




あろうもことか私の唇を奪った。





『なっ!』




水谷とか顔真っ赤だし、
ていうか…






意味わっかんないんですけど??!!














(でも一番わかんないのは)
(隆也にドキドキしてる私の心臓)





20100212.



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