短編
弐
シャリ、ちて、とん、とん
お前、おまいさん。ちょいと、此れを覚えてお行き。シャレ、ツト、……。
嗚呼、姐サン。オイラ、旦那様を捜してるんだ。急がねば、急がねと。
てんとん、シャシャ、りん。
無粋、無粋ー嗚呼、其れでは、旦那様、旦那様ぁ、と謂うのかい?フ、フ フフ、 フ
薄闇に浮かぶは黄金の龍か、鳳凰、か。かかやくばかりの襖。
あぁあ、旦那様ぁ…旦那様、旦那様……嗚呼…
旦那様…?旦那様、もしや、そちらに御出ですか――?嗚呼良かった。私、用事を承って――
暗い蒼の闇に、浮かぶ長い髪。籐の、椅子。乱れた 着物
「嗚呼、お前。來てしまったんだねぇ。馬鹿な野郎だ。お前、もう――」
しゃり
河砂利を歩く。後ろの屋敷からは、いつもの
しゃり、
冷たい水を汲む
「彪(トラ)や」
呼
「さぁ、屋敷へお帰り――」
だ
ん
了
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