短編
6
一人廊下を小走りする。何故か俺は焦っていた。
なんだ?なんか俺、おかしくなかったか?
とにかく一人になれる場所へ行こうと走っていると、後ろから腕を掴まれた。
「!」
「センパイ――」
「昂星……」
そこにいたのは奴で。いつもいつもウルサイ、馬鹿で俺に片想いしている後輩で――。いつもは軽くあしらえる筈なのに、今は何故だかコイツの顔を見ていたくなかった。
「離せ、馬鹿!」
「イヤ」
「なんだと…」
カッとして手が出ると軽くいなされて、そのままギュウと腕に抱き締められた。
「おい!昂せ」
「センパイ…」
肩に顔をつけてぐりぐりとする彼に、急に怒りが静まってきた。阿呆らしい、何を熱くなっていたんだろう。
「センパイ、焼きもち妬いてたね」
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