短編
9
其は儚いこと――。
「あ、飛んでく。あまり元気ねぇなぁ。やっぱダメか?」
「かもねぇ。スゲー綺麗な川ってわけでもないしな、ここ」
「ま、いっか。奇跡奇跡!」
遠く地鳴りが微かに――大輪の華は対照的に艶やかに咲いていた。
「それより花火っ!!乱発してるよ、禎!あれ最後かな?」
「うぉい。……本当、お子様……」
視界の端で仄かな光を追った。消えて、光って、消えて、光って、消えて……――。
そうだ螢。
儚いなら逸そ潔く消えて。淡いなら形もなく消えてよ。
どうせ、あの花火には、一生、近付けないんだから――
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!