天体学習 9 ゆらゆら、ゆら、 「――こんな所で油売ってていいのかな?」 不意の声にハッと顔を上げると、作業着風味のツナギを着た男が立っていた。 「す、すいません。もしかして、企業のブースではないんですか…?」 「はは、そんなに恐縮しなくていいって。お察しの通り、此所は展示スペース――まぁ、お遊びスペースだな」 よ、と膝を折って目線を合わせると、ふんわりと男は微笑ってみせた。肩まで伸びる綺麗な髪の毛に、不意にドキリとする―― おもい、だしてしまった、から―― けれど良く見れば其の髪は太陽を連想わせる夏蜜柑色で、 「それ、気に入った?」 懐こい笑みを刷いた口許は、そう尋ねた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |