小説 1 「え……?」 友利と親友の真樹は、繁華街を歩いていた。 「え?じゃない。よくあるアレだよ、アレ。人数合わせ」 真樹はニコニコとわざとらしく顔を緩めて友利を勧誘する。 ……合コンに。 17歳で高校二年生。 彼氏、無しな友利。 「まさかあんた…元カレ引きずってんじゃないよね?」 ギク。 痛いところを突かれた。 (引きずってたら何だっていうのよー!!!) 友利の元カレ、木本 幸也(きもと ゆきや)。 誠実な優しさに惹かれ、友利から告白し、付き合っていた。 しかし高二になったと同時に、幸也は海外に転校することになり、話し合いの末に別れる事になった。 (嫌いになって、別れたんじゃないもん。あたしは、まだ−…) 「もう半年以上になるじゃん。あのねえ、あっちも彼女が出来てるかも…」 「そんな事言わないでよっ!」 無神経とも言える真樹の発言に思わず喚く友利。 「あちゃ…ゴメン、友利」 「…人数合わせなら行く」 「はあ?」 ポカーンと口を開ける真樹。 「友利、今のは冗談だって!木本が好きなら無理しなくても…」 「いいのっ!行くもんっ」 「…はいはい。じゃあ今日向かえに行くから」 「はーい」 (真樹が言うのは、本当かもしれない。もう半年以上経つもん…。外人さんの彼女…もしかしたら同じ留学生の彼女だって、いる可能性があるもんね…) どうしようもなく寂しい気持ちになる。 だからって、ヤケになって合コンなんかOKしたのが間違いだった。 [戻る] |