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私をあなたは



痛い、痛い痛い痛い痛い、痛い、よ…。


どこが、と言われたら私は心と答える。


全部、走って縺れた足や、ぶつかった体、泣きすぎて腫れた目元も、全部全部痛いけど、




心にあいた穴から容赦なく冷たい風が吹き込んできて痛い。



一粒、また一粒、頬を伝って生温い雫が落ちてゆく。


『…っふ、』

たくさん、考えた。

龍之介は気づいてないよね、自分の気持ちに。龍之介は、優しいから、私を捨てないでくれた。


我慢もした、私泣かなかったんだよ?えらいでしょ?

泣いたら余計、あなたは私に気を使って傍にいるでしょ?


嫌だ、こんな自分も、人間の弱さも。



自分から別れを告げたというのに、


これで私も龍之介も自由になれるというのに、







涙は一向に止まる気配を見せてはくれない。









私は、ずるいから、




ごめんね、龍之介。






龍之介は、この学園に来て初めて話した生徒だった。


怖そうだったけど、意外と不器用で甘いものが好きで、

一緒に授業受けて、寝てたときは怒られたっけ。


弓道を見に行ったとき、私は彼が射る弓に私は翻弄された。

まっすぐに的へ吸い込まれる弓、それを見据える龍之介。


『…かっこよかったなぁ…』



あの時は月子ちゃんを好きだと思っていたものだから、

返事を貰ったときは嬉しかったな。



私だって、不安なんだよ。

月子ちゃんと一緒に昼食とってたり、課題をやってたり、


同じ部活だから、っていうだけで、月子ちゃんは龍之介を独占できる。


…そんなの、ずるすぎるよ。


だけど、私だけを見てなんていえないから、






私は別れるという逃げる選択しか出来なかった。



…私が強ければ、違う結果もあったんだろうか。


ごめんね、本当に。











拝啓、愛しい貴方へ


私は貴方の幸せを願います。




私を貴方は
   軽蔑しますか?


(…未練たらしいって言われるかもしれない)
(でも、好きでいてもいいですか…?)


(このとき、ずっと鳴っていた携帯に)
(私が気付くのは次の日の朝になってからのこと)



10/01/30

次で最後かも


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あきゅろす。
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