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SSA!
act02 蓮水先生その2
「甘泉君頼みたいことがあるので後で資料室に来てください」

「はい…」


昼休みに高橋さんを一緒に昼食を食べている時に蓮水先生に頼み事をされた。あれから数週間が立ち、私はことあるごとに蓮水先生の手伝いをしていた。
そんなの学級委員長である勇崎爽真君にでも頼めばいいものを…先生は必ず私を指名する。おかげでこの始業式から結構経つが人見知りのもあるが高橋さん以外友達が出来ない。

(雑用になっただけでクラスのボスみたいな子に嫌われたから当たり前かぁ……)

蓮水ファンクラブには嫌われているのは確実で、ほかの女子はその子達が怖くて話しかけれない。話し掛けてくれるのは気にしない高橋さんくらいだ…。

(でも、まだいじめに入ってないだけマシかぁ……)

今のところ閉じ込められたり、靴を隠されたりとかされていないし少し寂しいが…高橋さんがいるしほかのクラスに友達がいるしどうにか大丈夫だろう。

「じゃあ私部活で用あるからひなひなまたねー」

「はい…また」

高橋さんが立ち去り、私も教室を出ようと立ち上がり蓮水先生の場所に行こうとするが……

「甘泉さん」

「はい!?」

話しかけてくるのが珍しくなんだろうと振り返るとこの前蓮水先生と話していた子たちがいた。

「あ、あの何か……」

(ついに…いじめが始まる……!?)


「蓮水先生のとこいくんだよね…だったらさ」

「はい……」

蓮水先生という言葉に強く感じ後ずさりをしながら、彼女の話を聞く。

「頼みがあるんだけど…いい?」

駄目って言ったらきっと私は明日から学校にいけなくなるんじゃないかと思いながら、頷いた。




「……はぁ……」


頼まれごとは蓮水先生を屋上まで呼び出して欲しいとのことだった。
告白でもするのだろうか。

「来てくれるかな…………来てくれないと………」

私に被害が…と考えるとどうにかして来てくれるように頼まなければ…と考えながら歩いているうちに資料室にたどり着き、ノックをし返事をされ入る。

「あぁ…君ですか……」

「………」

(えぇっと言わないと……)

「…頼みごとですが……」

(でも、どうやって…屋上に来てくださいって言えばいいのかな…でもなんでって言われたら…ええっと……)

「…甘泉君?」

「…あ、はい!!」

「人が話しているというのに考え事ですか…」

「すみません」

「………」

「…すみません」

深くため息を吐かれ、謝りつつ更に話題に切り出しにくくなったなぁっと冷や汗をかく。

「なんですか」

「え……」

「何かあるならハッキリいってください迷惑です。」

「す、すみません……あの」

「あの?」

「お、屋上に来て欲しくて……」

「屋上?何で」

「それは……」

先生から言ってくれて、少しはいいやすくなり勇気を振り絞り言うが不機嫌そうに返された。

「それは?」

「それは……」

(告白だから来てくださいなんて……来ないよね…ええっと……)

色々と案が出ては消え…繰り返しているうちに……


「相談が…あるんです」

「?」

「そうです!相談があるらしいんですよ!」

「あるらしいとは……君ではないんですか?」

「はい…相談があるらしいんですよ!……うちの生徒が」

「………」

ぽつりと出たものは全く通用しないと言ってから思った。相談があるといわれてもこの先生はそんなの知りませんと言いそうだから。


「…わかりました」

きっと駄目だな…明日からさようなら平穏な学校生活と覚悟を決めていると…

「え」

「屋上に行けばいいんですね。いまですか?」

「!は、はい……」

「わかりました…では、君はこの資料室整理お願いします」

先生はそう言うと立ち上がり、資料室を出ていき扉が閉まる動作を私は固まったまま見つめて……

(え……いいの?)

信じられなくて目をパチパチしてから、ガラッと扉を開け先生が屋上に向かう姿を確認し本当だったんだと実感し良かったと一息ついて私は崩れるように座った。

(良かった…これであの子も怒らないだろう……)

考えた最悪な学園生活にならないと感じると良かったと思い、ほっと息を吐いた。



そう、うまく人生はいくものではないと知らずに。




「甘泉君」

「は、はい!?」

「資料室の件まだ片付いてなかったでしょう?」

「わ、わかりました…放課後も片付けます」

「お願いします」

あの後、嬉しくてしばらく整理するのを忘れてまだ散らかっているから言われるのは当然だろう。自業自得だし、大人しく放課後犠牲にして整理に向かうしますか。

「あれ、ひなひな掃除か〜今日私の部活案内しようと思ったのにー」

「え?高橋さんの部活を案内…なんでまた……」

「私報道部なんだよね…そこで私の夢を聞いて欲しくて」

「遠慮します。」

「いやいや…部長も会いたがってるし」

「え…部長が?…部長ってまさか……」

「甘泉さん」

「え………」

「お?」

高橋さんとの話を中断され、振り向くとそこには…機嫌悪そうな…昼話しかけてきた子達。

(えぇ…蓮水先生来たんですよね?な、何で不機嫌そうなの……)

「ちょっと来てくれない?」

「その…蓮水先生に頼まれごとされて…すみません……」

危険を察知しここは回避しようと思い、そう言うと更に不機嫌そうな表情になりあ、やばいと思ったときには手首を掴まれていた。

「いいからさ、ちょっと来てよ」

「え…ちょ……」

「ちょっと……あ、ひなひな!」

高橋さんが助けてくれようと声をかける暇もなく、彼女たちは痛いくらい私の手首を掴んで教室から出て行った。






「あ、あの…痛いです…その…どうか……」

「あんたはいいよね…蓮水のお気に入りで…何?あの真面目先生と寝たの?」

「ね……は、はい……?」


何でそういう話になるのかわからなくて、手首を掴んでいる子を見る。


「じゃなきゃ…素直に蓮水が呼ばれてくるわけないよね…」

「え……」

「普通は呼ばれてくることなんて少ないもん」

「えぇ……」

そうだったのかっと思うのと同時に何で私に来ないとわかっていて頼んだんだろうと不思議にも思うが、もしかしてそれは……いじめだったのかな?

「なのにまさか来てさ……あー本当最悪だったよ」

「え………何……!?」

ぐぃっと強く引っ張られそのまま空き教室に投げられ、とっさで受身がとれず腰に痛みを感じ何かと見上げると彼女らが怒った顔で私を見下ろしていた。

「来ても来なくても告白する気だったけど…あんな最悪なことされるぐらいなら呼ばない方がよかったつうの」

「え?」

(最悪なこと……)

「なにされ……」

「蓮水のやつ…ラブレター渡したら…本人の目の前で破り捨てたられたんだよ…迷惑ですと共に」

(えぇぇぇぇぇ……)

…破り捨てる…さすがブリザードってところだろうが、酷い……

「それは…ひどいですね…でも…私とそれは……」

「だから聞いていた?あんたが呼んだからそんな有様見る羽目になったんだよ」

「え…」

「最悪じゃん…」

「それって……八つ当たり……?」

「うるさい」

「え……ちょ……ま……」

バタンと扉が閉まられ、私は青くなる。こういうパターンは……やはり、開かない。


「ちょっと待って下さい!私関係ありません!そういうのは蓮水先生に直接いうべきかと…」

「煩い煩い!あんたが悪いじゃん!」

「だから八つ当たり…」

「あー聞こえないし。」

「ちょっと…待ってくださ……」

「あはは…ここ誰も来ないし。でも下校時間には見回りの人くるしそれまで辛抱じゃん?私優しい」

「こ、こんなことしても蓮水先生には……」

「あ?じゃああれじゃん?蓮水のしたことは雑用係のせいでもあるってことで」

「えぇ……」

「それいい!」

「何がいいですか…全然よくな……あ……」

彼女らは笑いながら、そのまま廊下を普通に歩いて遠くなっていく。

(嘘でしょう……)

八つ当たりで閉じ込められるなんて…そんなことあるのだろうか。いや、現実にあったのですが。

「……はぁ……」

やはり、今年はついていないようだ。蓮水先生の雑用係になり、閉じ込められて……

(あ、そういえば…雑用係の仕事していない……)

明日に回されるのだろうか……別にいいけど。

(なんだか…冷静だな……)

もしかしたら見回りの人に気づかれないかもしれないのに、冷静になりつつあった。

(あんなにわかりやすく八つ当たりされたからかなぁ……はぁ……それにしても……)

本人の目の前で破り捨てるなんて…酷いことするなぁ…

本人が一生懸命思いを書いたラブレターを破るなんて…確かに本人には邪魔でもあるだろうが……

噂通りのやっぱり冷たくて厳しい人なんだろう…先生になったのも不思議なくらい。
あんなに顔綺麗なら芸能人にでもなってくれれば、私こんなに悩むことなかったのに……

出会わなければこんなことになって……

(先生帰ったかな……)

ちらりと教室の時計を見るともう2時間くらい経っていたが、変わりはない。

(怒ってるかな…私サボったし…まぁ…)



「甘泉君、サボりはよくありませんよ」

「………!?」


聞こえるはずない声に振り返るとそこには、扉を開けこちらを見下ろしている蓮水先生がいた。

「な、何で…あ、先生が……」

「君が…資料室で片付けしていなかったので何かあったのかと思いまして」

「え……」

(何かあったと思って………え?)

先生は夕日が差し込む教室に足を踏み入れ、私を瞳に映す。


「どうやら怪我はないようですね」

「……」

「で、どうしたんですか…何か…問題でも……」

「先生」

「はい……何か……」

「私がサボったとか思わなかったんですか……」

そういうと先生は始めて不機嫌そうな表情以外の表情…不思議そうな顔をした。


「?君はサボるなどしないでしょう?」

「え……」

「君は…一度引き受けたことは最後までやり通す生徒でしょう…」

驚いて先生を見つめると、やはり不思議そうで。こちらが不思議なんだけど。


「私が見ていた甘泉君という生徒はそういう生徒だったと記憶していますが」


(記憶して……?もしかして…先生…見ていたの?)

冷たくて生徒なんか見ていないと思っていたのに………案外……あ。
ふと、入学式で言ったことを今思い出した。

あの、最悪なことの最後に……


「ですが…それ以外のことはできる限り君たちを見て、困ったら助けようと思っているので困っていたら頼ってください」

って言っていたのを思い出した。

(だから相談と言ったら行ってくれたのかもしれない…今も…)

「甘泉君…?」

この前の思ったことを取り消してもいい……

(いいところも…あるかも…しれない……)

「先生」

「?」

「親しみこめて…はすみんって呼んでいいですか……」


まずは苦手意識など捨てて、少し仲良くなろうと思った。


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あきゅろす。
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