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A!?
三月うさぎと花畑


「しかし、このナイフよく切れるよなぁ……」

ソルトが退治にさっさと行こうとしている間に色々と帽子屋から買った。ちろるの武器でもあるナイフもそのひとつである。

「その分人の借金増やしたっスよね。……自分じゃないからって沢山買って……」

「…………なぁ、ソル」

「なんスか」

ちろるはナイフをくるくると回しながら、ソルトに問いかける。

「陽菜ちゃんを一人にしたけど良かったのか?」

「アイツが勝手に食料探しに行くとか言ったんだろ?別にいいだろ」

「なぁ、ソル」

「今度はなんスか」

「……ここに来るまで沢山モンスターが出たよな」

「?あぁ……たくっ……本当に疲れたっスよあんなに相手すんの…………」

「ソル」

ソルトは言いかけ面白いくらいピタリと動きが止まった。分かりやすい奴だなっと、ちろるは思った。

「そんな中陽菜ちゃん一人にして大丈夫か?」

「!!先輩気が付いてたら何でもっとはやく……!いや、とにかく……」

ソルトは慌てて陽菜が行った道へとずかずかと進んでいく。

「先輩さっさと陽菜探しに行くっスよ!」


**


「……木苺……これが」

「せや。……これも食えるわ」

唯是君に食べれるかどうかを教わり、着々と食料が増えていく。うさぎだからか食べれるものかどうかわかるもんだなぁっと感心しながら持つ。

「……これなんか結構腹持ちするで?」

「へぇ……」

「…………」

「…………」

前を歩く垂れた耳のうさぎさんを見つめる。幼稚園年少の子に耳をはやしたみたいな外見はとても可愛いい。出来ることなら抱き締めてみたいなぁとか考えていたら唯是君に振り返られ驚いた。

「!?な、なんですか」

「ひよこ……前!前!」

「?前ですか?何が……うわぁ……」

唯是君が前を指差すから何かと体を動かし見れば、そこには……

「花畑です!」

綺麗な花畑があった。

「綺麗ですね……」

ソルト君と会った場所も花畑だったがよく見る余裕がなかったので今目の前にある花畑が嬉しくて近寄る。

「せやな……綺麗やなぁ」

「はい……」

花をよく見ようと屈みこむ。目の前にある綺麗な花を見て笑顔にもなる。

「!!……せや」

「?」

唯是君も屈みこみ、背中を向けられる。なにか作業をしているみたいで邪魔してはいけないかと思い自分も背を向け花を眺める。

(この花なんていうんだろうなぁ……)


「ひよこっ!」

「?はい……なんで……!?」

振り返るとふわりと頭になにか置かれた。なんだろうと手を頭の上へと移動させるとそこにあったのは……。

「花冠?」

「せや」

「なんでまた……」

「似合うと思ったんやけど」

「けど……?」

(まさか思ったより似合わなかったとかでは……)

唯是君は浮かない顔しているからそんな事考え落ち込みかけたが、目の前の彼は満面の笑みになって。

「思った以上に似合って驚いたわ……」

「え……」

「…………」

「唯是君……あの……」

「めっちゃ似合っとる」

言ってから唯是君は照れたのか顔を赤いが、笑ったまま言う。その照れた笑みに私はちょっと赤くなり下を向く。

「あ、ありがとうございます……」

「おん」

「……」

「……」

しばらく無言が続く。私は下にある花を見つめたまま。

「ひよこ、あのなぁ…………な!?」

「唯是君?……!?」

沈黙を破ったのは唯是君だった。だが、最後の彼の焦った声になにかと顔を上げるとそこにはいたのはモンスターだった。

「花畑で誘い襲うモンスターか」

「唯是君逃げま……!?」

「……」

逃げようと立ち上がるが、モンスターの動きが速く、私達の目の前にいた。

(はやっ……!?あ……)

「唯是君あぶな……」

唯是君に攻撃がいきそうなのに気付き庇おうと咄嗟に身体が動いた。モンスターの気配が間近に感じる。

「この……あほっ……!」

「!?」

唯是君は怒鳴り声を上げると私の手を掴み引き寄せらそのまま投げ捨てられ地面に倒れこんだ。

「いた…………!?」

痛みに目を瞑ると切り裂いた音が聞こえた。

(まさか……まさか……)


「唯是君……!?」

「……ひよこ……逃げ……」

恐る恐る目を開けるとそこには切り裂かれた唯是君の姿があり、駆け寄る。唯是君は痛みにたえながら私に呼び掛ける。

(やだやだやだ)

「ひよこ……」

(こんなの……やだ……)

頭でやだと繰り返される。唯是君は苦しそうに逃げろと言うが身体は動かない。

(私は……)

「?……あ!」

一瞬映像が浮かんだがすぐに頭から消えた。目の前にモンスターがまた迫ってきたからだ。

どこか遠くのようなことのようにそれを私は眺めていた……




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あきゅろす。
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