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駄文
trauma (紅金)


 ずっと、この髪色が大嫌いだった。

 周りはキラキラ星屑のように綺麗だと褒めてくれたけれど、オレは大嫌いだった。















「テメェは何してンだ」

「いて」




 鏡の前でハサミを構えていたオレの頭を、いつから其処にいたのか、コウが後ろから軽く小突いた。

 たいして痛くもなかったが、小突かれた頭を摩りながら振り返れば、呆れたような彼の顔。
 彼は僅かに顔を顰めると、オレの手からハサミを奪っていった。




「切りてぇの?」




 つか、お前が自分で髪切ったらヒデェことになるだろーが。
 ザインに頼めよ。
 なんて笑うコウから視線を逸らし、再び見遣ったのは鏡に映った自身の髪。

 それは、目映いほどの金糸。

 無意識のうちに、(眩しいからではなく)眉を顰めた。




「でも、切っちまうには勿体ねぇ気もするけどな」




 さらりと、髪に触れた指先。
 それから逃げるように、オレは僅かに首を傾ける。


 オレは、この髪が大嫌いだ。

 この色の、この髪が。

 大ッ嫌いだ。




(だって……アイツと、同じ…)




 記憶の中に残るあの色。
 消し去りたいのに、何百年と経っても未だに消えてはくれないあの面影。
 不意に、何気ない瞬間に、頭の中に響くあの声。

 …例えば。




「――…いやだ…」




 ふと、オレに向かって伸びてくる手がある時に。
 その手が、オレに触れようとした時に。




『―――たかが、コピーの分際で…!』





「触るな!」

「?!」




 アイツになんか似ていないのに。
 アイツとは全然違うのに。
 その手がオレを殴ったりなどしないというのに。

 忘れた頃に、何気ない時に、蘇ってしまうあの痛み、恐怖。




(…消えて……消えて、)




 あの子を苦しめたアイツ。

 あの子を殴ったアイツ。

 あの子を護ろうとしたルリをも殴ったアイツ。

 あの子達を護ろうとしたオレも、アイツはやはり殴った。


 同じ色。
 この髪は、アイツと同じ色。




(…だいきらい)




 選りに選って、なんで。

 なんでオレは、
 オレの髪は、

(アイツと同じ色なんだ…)





 あぁ…なんて汚い。



「シオン…」



 いやだ。



「……シオン」



 なんて醜い。



「…シオン」



 いやだ。



「シオン、」



 いやだ。





「シオン!!」




 痛みは終わった。
 苦しみも悲しみも、憎しみも。

 だのに、何故?




「……こわい…っ、」




 今も尚、其処に見えるのはあの色。

 アイツの面影。




「いやだ…………もう、消えてくれ…!」




 あぁ、あれは、オレ自身…?

 それとも、幻?

 いや、あれは本物の……。




 鏡の中に映る金糸が誰なのかすらも判らないオレは、ただただ、オレを包む温もりに縋るしかなかった…。











+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+




ほぼ1年振りの駄文更新…!
すみませんorzorz



今回のこの紅金は、少し書き始めてる金中心の過去話にリンクしてるメモ的なお話でした。

こんなん書きたいなぁ。
でも、なんか纏まらないなぁ。
紅犬を絡ませたいのに絶対に出ないよなぁ。。。って考えから出来たんです←

未だに(勢いだけで書いてるから)うまく纏められてませんが、ちゃんと形にしたいです。
金の話って書きたかったので。
(過去話なので翠が出なくなっちゃうのがアレなんですが…)

他にも書きたいネタはたくさんあるんですが、どれもうまく纏められない…orz
続きもいろいろ書きたいです…本当にすみません…ちょっとずつしか進めないけど頑張りますorzorz




11,10,26




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