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駄文
Welcome to the Wonderland 5 (アリスパロ)


「…ハートの女王…」




 さっき、あの双子が落としていった封筒を意味もなく裏返してみたりする。

 綺麗な文字でそこに書かれているのは、『ハートの女王』という差出人の名前。
 私はつい、首を傾げた。



 ハートの女王……ハートの女王…。
 いったい誰だろう。

 その人物がこの不思議で可笑しな世界を統べているのだろうか。



 もう一度裏返して、今度は手紙の宛名へ目を遣る。




「…とりあえず、公爵夫人とやらにこの手紙を渡すか…」




 きっと、大事なことが書かれているのだろうから。
 渡してやらないと、きっと大変なんだよ、な…?
だって、女王様からの直々の手紙だし…。




(その用事を忘れるあの双子は結構イイ性格をしているな…)




 そう思いながら手紙を大事に抱え、森を進んでいく。
 そうすれば、その森の中に隠れていた1軒の屋敷が徐々に見えてきて。




「ここ、か…?」




 立派な門から中を窺い、辺りを見回す。
 けれど近くには誰もおらず、暫く途方に暮れていたら。




「公爵夫人になにか用かい?」




 小さな子供の、クスクスと笑いを含んだ声。




「この手紙を、双子の代わりに…」




 声につられ背後を振り返ったけれど、そこには誰の姿もなかった。
 私は首を捻り、辺りを見回す。

 すると、今度は門の上から。




「あの双子…また遊びすぎてお使いの内容を忘れたわけぇ?」




 だから子供は苦手なんだよ。


 苦そうにそう呟く声も、明らかに子供。
 そのことに関してツッコミは入れず、門の上を見詰めるが、やはり誰もいない。

 奇っ怪な…。


 顔を顰めたままでいたら、またクスリと笑う声。




「開いているからお入りよ。
 ただし、公爵夫人と会うのは気をつけ方がいいよぉ」




 今、ケンカ中だから。



 そう呟いた声のあと、門の柵がひとりでに開いた。

 私はそれを眺めつつ、聞いてはいけないことを聞いてしまった気がして思わず後退る。




(……ぇ、ケンカ…?)




 ケンカというのは、ケンカだよ、な…?
 それなのに、部外者である私がお邪魔していいものか…。

 これはもしかしなくても、タイミングをずらした方が…。



 そう考え、踵を返そうとした時。




「なにをしているの?早くお入りって」

「ぅわっ?」




 突然腕を引かれ、そのまま門を潜り、屋敷の方へと駆け出した。

 私は確かに、誰かに手を引かれている感覚がするのに、手を引くその誰かを見つけることができなくて。
 けれど、恐怖はない。

 それよりも、何処へ向かっているのかということの方が気になってしまっていた。


 透明な誰かは、クスクス笑いながらまるで私を誘っているよう。




「こっちだよ、ユーリ」

「ぇ……何故私の名前を…?」




 気付けば私は屋敷内を駆けていて、私は見えない誰かに問う。
 それを聞いて、私の前で誰かが笑った。

 そうすれば、歯を見せて笑う口だけが目の前に見えた。




「ヒヒヒ…もう皆知っているよ、君のこと」




 彼奴が連れてきた、って。




 その言葉を聞いて、頭に浮かんだのはあの兎。

 青い、変態兎。




「おまえ、あいつのことを知っているのか?」




 そう問おうとした時には何処かの部屋の前に到着していて、さっきまで走っていた所為か息が切れてしまってうまく喋れなかった。
 それでも顔を上げれば、やはり笑った口だけがそこに浮いていて。




「物が飛んでくるから、気をつけてね?」




 最後に喉の奥で笑う声が聞こえたかと思うと、また勝手に扉が開いた。
 そして、そこから突然鍋が飛んできて…。

 突然すぎて避けることができず、その場に突っ立ったままでいたら、私の顔すれすれをそれが通過し、後ろの壁に当たった。



 ……………ぇ……。



 恐る恐るそれを振り返れば、それはあろうことか、柄の部分が壁に突き刺さっていた。

 壁に刺さるんだ…なんて、半ば呆然とそれを眺めていたら、




「信っじらんない…!」




 部屋の中から、可愛らしい女性の澄んだ声。
 だけど、それはくぐもっていて。




「ちょ、誤解だって…!」




 そして、男性の声。
 それは焦りを含ませ、余裕なんてなくて。


 私がつられるように部屋の中へ視線を向ければ、
 そこにいたのは上品なスーツに身を包んだ蒼い髪の青年と、可愛いドレスに身を包み、赤子を抱いた翠髪の愛らしい女性が向き合うようにして立っていた。

 明らかにそれは、険悪なムードで。


 無意識のうちに、引き攣った笑みを浮かべてしまった。




「だからボクが言ったでしょう?今、喧嘩中だって」




 すぐ隣で、姿の見えない誰かが暢気に笑う。

 私はそれを何処か上の空で聞き流しながら、


(あぁ……私の今日の運勢はきっと最悪なんだ…何をやってもツイていない日なんだ)


 無理矢理にでも、そう納得することにした。




 さて、どうしようか…。





To Be Continued...





+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+





はい、詳しくは書いてませんが、漸く出せました!
チェシャ猫と公爵夫人。

あと、ホントは家政婦(?)なんですが、こちらは公爵夫人の旦那、公爵で。←まんまだね。


いや…………すんません。
勝手にキャラ作りました………夫人なら旦那さんいるんでしょ?みたいな感じで開き直って←←

だって、出すならこの2人はバカップル(違う)で出したいな、と。


ぇ?蒼翠ですwww
チェシャ猫は、口調と「子供」という表記で気付いて頂けたらな…と。

次回の話辺りでちゃんと出しますがね!
完璧オリジナルでサーセンw/(^q^)\w
楽しかったです←←←相変わらずミズチだけがねwww



ぁ、あと今更ですが、前回に出した双子の名前……メルとジルに直していいですか?
直させて下さい…!orz

なんで双子の名前をまんまにしちゃったんだろ…←
まぁいいんだけど……次に名前だけで出した時に判りやすいよう、双子(ダムディー)はメルジルに直しますー。

すみません……殆ど考えなしで書いてるので←いつもだwworz




10,04,12




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