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自分の出した声に恥ずかしくなりながらも、再び男の顔を見る事となってしまった。

は?何で?思わず声に出して言ってしまいたくなる程男の顔は真剣で、さっきの笑顔はどこに行ってしまったのか、今度は眉を少し寄せ困った様なでも少し怒っている様な表情をしていた。     まったく意味が解らない。唯一の共通事だとしたら報告書の事しか思いあたらず、

「・・・あ―・・・、何か書き直しでもあり・・・」

「あなた・・・、処置が不十分じゃないですかっ」

「・・・・・・・・・は?」    

また、変な声が出てしまった。
あぁもう何なんだと自分が出したおかしな声や変な展開に変わっていく中で目眩が起きそうになっているというのに、目の前の男はそんな事など知るかと言わんばかりに俺の左手を掴んだまま、机の引き出しから携帯用の医療道具を取りだし、顔を上げた。

「この腕の怪我を治療したのはいつ頃ですか?」

声は出なかったものの、思わず目が見開いてしまった。
唯一彼から見える自分の目が驚いた仕草をしてしまい、目を見て話す彼にとっては動揺がバレてしまったかもしれない。
隠していると言えば隠していたか・・・。と、言うか気が付かないと思っていた。
確かに、帰ってくる数日前に任務先で抜け忍と戦い、その時に腕に迂濶にも切り傷を負ってしまった。
とりあえず、血さえ止まれば良いかと思い、自分で簡単な消毒と5針縫うだけでそのまま放置していた。
里に向かっている最中も別に痛みは無く、里の入り口に入り、気が抜けたからかようやくその時思い出したくらいだ。でも、怪我を負った後すぐに傷口を塞いだおかげで、血はすでに止まっていたし匂いもあまりしない筈だと思っていたのに。健康的な肌の色をしているが実は医療忍者?・・・などと考えていたら、何も言わない俺に焦れたのか、

「・・・・・・あのっ、・・・あ・・・あれ?」

男がふと報告書に目を落とした。
ん?と思っていると、捕まれた左手ごしに男が瞬時に硬直するのがわかった。
でもまぁ、とりあえず答え様かと思い、

「・・・えーと・・・、多分、4日前ぐらいだと・・・」

「・・・はたけ・・・カカシ・・・?」

「・・・はぁ」

そう答えた途端、今まで左手越しに伝わってきていた男の温もりが氷でも触ったかと思う位、冷えていった。
そして、男の指が左手から一本一本ゆっくりとだが離れていった。
心なしか微かに震えているのは気のせいか?
突然な変わり様に不思議に思い、

「あのー・・・大丈夫?」

左手から指が完全に離れるのを待って声をかけた。
手を降ろした彼は下を向いたまま動かない。

「・・・えーと・・・あの・・・」


「申し訳ありませんでしたっっ!!!」


突然の大きな声は誰もいない受付室に響き渡った。
近くにいたせいで鼓膜に直撃してしまい、さっきからの不意討ちだらけに俺も気が緩んでしまっていたのか、さすがに今度は声が出てしまった。

「・・・っうわっ!?・・・えっ?・・・えっ、な・何なの?」

さっきの大きな声で少しおかしくなった耳を抑えながら、それでも突然の変わり様にその理由が聞きたくて聞き返してしまった。
姿勢をきっかり90度に曲げた男が恐る恐る顔を上げた。顔色も心なしか悪くなっている。

「・・・あなたがあの、はたけ上忍だとは知らず、腕を掴んだ上、図々しくも傷の事を聞いたりと身の程を弁えない態度を取ってしまいまして本当に申し訳ありませんでした!」
と、言いまた頭を下げられた。

あれっ?・・・じゃあ、入って来た時のあの態度は一体何だったのか?あれは自分をはたけカカシと知った行動ではなかったのか・・・?

「・・・・・・・・・」

ダメだ。この人本当にわからない。
忍は裏の裏を読めと言われるが、どうやらこの男は体が先に出てしまうタイプの様だ。
その考えにある別の男の顔が頭の中に浮かびウッと一気に気分が悪くなった。








※あの眉の濃い方だと思うの。(笑)


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あきゅろす。
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