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――初めて彼を見た時すぐに思った、
・・・彼とは絶対気が合わなそう・・・。


・・・いや、むしろ嫌いなタイプだ・・・










長期任務から帰って来て報告書を持って行った時に、真夜中の受付所はあたりまえの様に閑散としていて部屋の机の向こう側にぽつんと一人男が座っていた。
今迄任務の報告書など面倒で自分が指揮をした以外はチームを組んだ奴に任せていたのだが。
それに自分が指揮をする任務は殆どが暗部がらみしかなく、直接火影のいる執務室に行っていたのにはっきり言ってこの部屋は俺とは無関係と思っていた。

手の内にある報告書に目を落とす。

あと二ヶ月程任務期間が残っていたと思う。
と言ってもその任務の後始末……戦死した仲間の荷物の処分やトラップの解除等を大きく見積もった期間だろうが、前線に行く様な忍がそんなに長い時間をかけて処理をする訳も無く重症な者逹の回復を考えての事だろう。
自分も大した怪我は無いが精神的に疲れきっていた。
別に報告書を持って行くなんて明日でも良かったかも……。
それに自分が急遽帰還命令を受けたのも薄々だが予想は付いていた。

――あの狐子がアカデミーに入学した――

考えていた訳ではないが年月を思えば納得はした。
何年か前に里から補充で来た忍が休憩中に何かの話の合間に出てきた言葉だった。一緒に談笑していた奴は火影樣が卒業させないとか何とか訳のわからない事を言っていたのを少し離れた所からくだらないと思いつつ聞いていた。
四代目の遺志をこいつらに言うつもりは毛頭無い。前線に配属され里に戻れない可能性が高いというのにその時まで彼は何も知らず散って逝くのだとしたら同情と言うよりは哀れで仕方がない
他人の人生など自分には関係無い。
今はなき親友から仲間について諭されたはずなのに、戦場の空気に麻痺され又心が荒み始めたのかもしれない。
それとも、根っからの根性悪で時々誰かから指摘されなきゃどんどん暗い考えに堕ちていくのか……。




「・・・・・・あの」

はっと、顔を上げた。
戸惑いがちな瞳とバッチリ目が合ってしまった。
辺りを見回し、自分が受付所の扉を開けたままボーっと立っていた事に気が付き、意味もなく一つ小さく咳をして何も無かったかのような態度で受付に歩み寄った。

まずいな……本当に疲れてるんだな俺………

さっさと、渡して家に帰って寝てしまおうと思いながら報告書を差し出した。

・・・だけど、目の前の男は報告書を受け取らない。
さっき目が合った時から反らす事なくジッと俺を見つめている。

……何?こいつ……?

少し不快に思いながら自分も見下ろす形となる前の男の顔を見た。
一言で言えば平凡。素朴というより集団の中にいたら探すのが難しい部類に入る。どちらかと言えば男性的な顔で昼間は外で動いているのか、程よい感じに日焼けしている。髪も瞳も漆黒でつむじの辺りに一纏めに縛られた髪の毛や、少し上がり目とまっすぐ線を引いた様な眉で真面目な性格だろうというのは一目で解った。顔の真ん中に横一文字に入っている傷はなぜか痛々しく見えず彼のトレードマークにもなりそうだ。
男と対峙するのも飽た俺は、自分が疲れていた事を思い出し少しの不機嫌さを言葉に乗せた。    

「…………何?俺の顔に何か付いてる?」

俺の言葉で我に返ったのかハッと目を見開いて何回か瞬きし、一瞬だが又俺の顔を見上げる形でチラッと見た後急いで視線を報告書に落とした。
そんな視線を向けられるのは今に始まった事ではなく、またかとしか思わない。自賛する訳ではないが、コピー忍者と言われビンゴブックに載る程他国にも知られている自分なのだから、里の中では一般人は関係ないにしても忍なら知っていてあたりまえと目の前の男のぎこちない態度を見下ろし思っていると、報告書の確認が終わったのか顔を上げた。

「長期の任務大変ご苦労様でした。ご無事でなによりです。……おかえりなさい」




驚愕した……。



さっきまで落ち着かなく俺と報告書を何度も確認する男は、顔中満面の笑顔で俺にそう言った。
そしてその笑顔のまま俺の唯一見えている右目をまたジッと見つめる。
眼差しは優しく本当に待ち望んでいたかの様に。
不快さは多少ながら無くなりつつあるも、今度は何となく居心地の悪さに俺の方が目をそらす。

……何なんだ?本当に……

多分男の無意識の行動だろう。
人の目を見て話すのは礼儀正しい部類に入るだろうが、自分の好き嫌いを無しにしても忍として目を直視してしまうというのはどうかと思うが。ここが戦場なら確実にこの男は長生きは出来ない。
あまり見つめるなと言うのも格好が悪く、この場を去りたい気持ちが強くなり男の手の内にある報告書に指を指した。

「ソレ、もういいんでショ?」

「・・・え?あ、はい。不備はありませ・・・」

「そ、じゃあね」

相手の言葉が終わる前に言い、振り返ろうとしたらポケットに入れていた左手の手首をパシッと音が出る程捕まえられた。
思わぬ行動にビクッと肩が揺れてしまった。

「っ!!・・・な、何?」

油断していた訳ではないがまさかそんな事をしてくるとは思ってもいなかったので、普段出した事もない程の気弱な声が出てしまった。









※カカシ少し捻くれてます。(汗)

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あきゅろす。
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