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02






漸く受付も終わり、外を出るとすっかり暗く街灯が点々と見える程度だった。
隣にいた同僚と道を歩きながら話をしていて、同僚がフとさっきの事を思い出し話し始めた。

「そういや、さっきのはたけ上忍の態度なんだろうなぁ・・・」

それでも名前の所を小声にしているのは、俺達中忍の悲しい性か。

「まぁなぁ・・・」

まだ彼の人となりが見えないので、何とも言えないでいると彼は思い出しながらまたぼそぼそと小声で伝えて来た。

「ずっと遠征で里外任務をしていたんだってよ、まぁ、最前線で戦ってきた人達からみたら俺達なんて平和ボケめ、とか思われるのもわかるけどさぁ〜」

「まぁ、そう言うなよ。彼らがいるから今の木の葉の里があるんだし。」

「イルカ・・・お前は・・・ったく、何だよさっきからフォローしてあげていたってのによぉ・・・」

「フォローだったんかい!」

「・・・あ、お前知ってる?はたけ上忍さ、あれだけのエリートだろ?花街に行ったらスッゲェモテモテなの。しかも、恋人になる奴も超美人のくの一ばかりなんだってよ!」

「おい、話がいきなり反れたぞっ。・・・・・・そうなの?」

コロコロ変わる同僚の話に呆れながらもエリート忍者の一面が知りたくて、話を促す。

「里に戻って来ると女が絶えないとか、しょっちゅう女同士の修羅場があるとか・・・何か、夜の方も業師とか・・・」

「マジで?・・・流石ってのか・・・」

男同士だと結局は下ネタになる訳だけども。

ゴシップネタで信憑性は低いけど、そんな低能な話でバカ笑いをするのも好きでゲラゲラ笑っていると、フッとまたあの感覚を感じた。

・・・あ、また。
同僚はどうなのだろうと横を見ると、やっぱりわからないらしくて話を続けている。

・・・どういう事だ?俺しか感じないのか?

・・・それとも俺だけわかる様にしている?

だとしたら、中忍ではない。上忍かはたまた暗部か。どちらにしろ、俺より確実に上だ。

せめて居場所だけでも突き止め様と周りを伺っていると、話し足りないのか同僚が飲みに誘って来た。

「なぁイルカ。今日飲んでいかねぇ?」

「えっ?・・・ああ、そうだな・・・」

行きたいけど、この視線に付きまとわれるのは参ると返事を濁しているとスッと気配が消えた。

「・・・・・・あれ?」

「何だよ?どうした?イルカ・・・っ!」

いきなり言葉を詰まらせた同僚の顔を見ると前を見て目を見開き、立ち止まっている。
視線を追うように同じく前を見て動きが止まった。
俺達二人の前の道から今までバカみたいにゴシップネタで話していた人物、
はたけ上忍が歩いていた。
間はかなりな距離もあったし、全部の会話が聞こえていた訳ではないと思うが、でもバカ笑いしていたのは聞こえていたかも。

「・・・あ、・・・ヤバ・・・」

途端にアワアワと狼狽える同僚に、俺も内心ヤバイなぁと思っていた。

「・・・あっ、俺此方の道だから、じゃあまたな!」

「はっ?えっ?・・・オ、オイッ!?」

そそくさと横の道に曲がり同僚は逃げて行きやがった。

・・・あの野郎!どうすんだ!バカ野郎!

自分の家は真っ直ぐ行かなくてはならなくて、結果はたけ上忍に近付いて行く。
聞こえてないようにと、内心願いながら顔には出さず歩く。
向こうも俺に気付いているのかなんなのか、手元にある本を見ながら此方に歩いて来た。

もう少しですれ違う、何も言われなかったとホッと軽く頭を下げ、ため息を吐こうとした時だった。


「その話、ほとんど嘘っぱちですよ。」


後ろを振り返れなかった。

それでも足はゆっくり動いて歩いているおかげで、徐々に彼の気配が遠ざかっていく。
顔には出なかったが、服の下は汗ビッショリだった。

ドッドッと心臓が痛いくらいに早く動いている。

殴られなかっただけでも、良かったと思う。

確実に全部聞こえていた。

完全に彼の気配が消えた所で、駆け出した。
歯をくいしばり何とか声を出すのを堪えていたが、少しでも気が緩むと何か、訳のわからない声を発しそうだった。


ああ、俺のバカ野郎!
教え子を任せているのに、その人のネタで騒いでしかも、本人には聞かれてっ!
絶対呆れられたぁぁ!

相手が木の葉一の忍びと称される相手で余計自分が情けなく思った。

本当は屋根の上を飛んですぐにでも自分の家に帰りたかったが、一般家庭もあるので、非常時以外は深夜は上を走ってはいけない。


自宅前の裏路地まで来ると、隠れる様にサッと壁に背中を付けた。


「・・・ああ、本当俺のバカ・・・」

言葉に出し、漸く落ち着きを取り戻した。

・・・明日、会った時にはたけ上忍に謝ろう。


ハァーと長いため息をして、トボトボと自宅に向かった。











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あきゅろす。
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