01
・・・まただ。
最近感じる様になった視線に隣の同僚に気付かれない様に小さなため息を吐いた。
その視線に気が付いたのは、1ヶ月前あたりから。
最初は、ん?と、感じる程度だった。気のせいかと無視してたのに、その視線がなかなか外れずに焦れて周りを見回した。すると、その視線はストンと外れ、誰かわからない気配が消えた。
「・・・何だ?」
殺気が含まれていた訳ではなかったので、不思議に思うだけで深く考えずにいた。
しかし、その日から俺が受付の仕事をすると必ず感じる様になった。隣の同僚や前にいる報告書を持って来た上忍にはわからないらしい。
「・・・何だってんだ・・・」
呟くと、前にいる上忍が屈んで来た。
「ん?書き残しがあったか?」
「えっ?・・・あ、いいえ、ありません。すみませんでした、お待たせしまして!お疲れ様でした!」
ペコリと頭を下げお辞儀をすると、おおと軽く手を振り上忍は去って行った。
・・・ホントに何な訳?
どうせ、振り向いたら消えるんだろうなと半分諦めでゆっくりと首を後ろの窓に向ける。
やはり、ほんの微かに感じていた気配が消えた。
・・・ああ、何だよ?コノヤロー!俺が何したってんだっ!?何だ?まだナルト絡みか?
最近、俺の意志でアカデミーを卒業させた子がいる。
しかも、その子は腹の中に昔木の葉の里を壊滅寸前まで追い込んだ化け物を封印されている訳で、上層部からはアカデミーからだすなと牽制されていたし、・・・まぁ、俺みたいに両親をそして仲間を恋人を失った奴等からは中忍程度がと嫌味を散々言われた。
でも、それを鎮めたのは里長の三代目だった。
それからは、大宅に言われる事は無くなったけど本当にたまに、受付で帰りの道で、居酒屋で言われたりもする。
・・・そりゃ、しょうがないけどな。
納得出来ない奴等だっている。もう、自分達の大切な人達が戻って来る事がないし、じゃあ、この苦しい胸の憤りはどうするんだと思うんだろうな。
わかってるよ。
でも俺だって、軽い気持ちで決めた訳じゃないんだ。ナルトと共に受け止めてやるさ。
そんな事を一人つらつらと考えているとスッと前に報告書が出された。
「・・・お願い」
声で、ハッと顔を上げる。そこには今ずっと考えていた少年の現在の上官。そして木の葉一の業師と称されるエリート忍者のはたけカカシが立っていた。
こんな有名な忍者が俺が教えてた子供達の上忍師になるなんてと今でも驚きだ。
はっきり言って俺だけじゃない、彼が来ていたのかと気付くと受付所が静かな波の様にザワザワと騒ぎ始める。
そんな事などお構い無しといった風でだらけた格好で紙を持っている。
そんな姿でさえ、風格があって何だか流石と思う反面少し悔しい。
「あ、・・・は、はい!お受け取りします!」
そんな事を思ってる場合じゃないだろ!と慌てて報告書を受け取り確認をする。
話しはした。でも少しだけ。
ナルト達が無事下忍に合格して、報告しに来た時に一緒に来ていた。
挨拶程度の言葉を交わし、握手をした。
たったそれだけ。
ナルトが合格出来るなんてとそればかりが頭にあって話が出て来なかったともいうけど。
少し話出来ないかな?
子供達つながりもあるし、どんな忍びなのだろうとの思いもあった。
「・・・あの、どうですか?・・・子供達のよう・・・」
「それ、もういいの?」
「えっ?は、はい。結構です・・・」
「そ、じゃあね」
クルリと回れ右をしてもう用はすんだとばかりにスタスタと去ってしまった。
・・・えっ?ちょっと、何だよ?
「・・・何か、はたけ上忍感じ悪くねぇ?」
同じく見ていた隣の同僚も今のあまりな素っ気ない態度に言葉をかけて来た。
・・・何だよ。俺みたいな格下じゃ話したくもないってか?
急にムッとした顔になった俺に同僚は、エリートだからしょうがねぇよと余計落ち込むフォローをしてきた。
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