ARMY-セカンドプラン- そのコメントに多少の衝撃を覚えたのは、それが常々用意されていたかのようにスムーズにパンサーの口から放たれたからだった。 ワットも、眼鏡越しに眼を軽く見開いている。 二人の反応に少し戸惑ったらしいパンサーが口を開く。 「何か、変なこと言った俺?」 「…あー、いや別にそうじゃねーけど」 「うーん、なんて言うのかなぁ」 語尾を濁すワットに、ホーマーはため息をついた。ワットならうまく説明してくれるかもしれないという、期待は外れたらしかった。 「地に足が着いてるなぁって」 「『無重力の脚』のくせによぉ!」 右頬を、ぎににに、と引っ張る。パンサーはこういうときあまり抵抗はしない。抵抗はしないが痛そうに顔をしかめる。 「ちょっ…なんか怒ってる…!?」 「ちげえよ馬鹿」 ホーマーの声に微かな翳りがあることにパンサーは気づいているのだろうか。ワットはそう思いながらも目の前の光景に笑う。 天気の良い日だった。 パンサーの住むアパートの屋上には日が照り、頭上には青空が広がっている。床上には、今朝の朝刊が広がっていた。 「駄目だったら飲み屋でもやりやがれ」 「それってホーマーが飲みたいだけでしょ」 笑い顔で言うパンサーに、ホーマーはおうよくわかったな、と返す。 「元手が、な」 パンサーの手が新聞のページを捲る。 開いたのはスポーツ面だった。ドラフトで指名された若者が、誇らしげにユニフォームを掲げている。 「まあ、ここに行けるのが一番だけど」 夢を諦めるつもりはない。 けれどもう現実が見えない歳じゃない。 カサリ 日差しに当たり続けた新聞紙が、乾いた音を立てた。 END ************ 題がついてないと何がなんだか。え?ついていても何がなんだか??(汗) 無理やり時期を合わせてみたもの。 |