1 「れーちゃんー!起きて起きて!!」 『ん……、ゆ…、え…?』 身体を揺さぶられ、微かに目を開く。太陽の光が自棄に眩しい。 ゆっくり上体を起こして月を見つめる。 「もうっ、今日は文化祭最後の準備だからねって昨日言ったのに!」 『え、あぁ…。ごめん。』 早くと準備を急かされ、慌てて着替えと歯磨きと顔を洗う。 ……残念ながら朝食は抜き。 そういえば、うちのクラスは何するんだっけ。なんて未だ寝惚けてる頭で考えながら教室へと急いだ。 「はい、これ。」 『………え?』 渡された白黒の(割合的に黒が多い)、多分衣装をまじまじと見つめた後で渡してきた張本人を見つめる。 目の前の奴は何故か笑顔。 「昨日説明したでしょ?」 『説明………。』 されたっけ? 思い返してみても説明を受けたことなんて全く覚えてない。 と、なると…。 「取りあえずこれに着替えて?」 『いや媛乃…、私は、』 「き が え て ?」 有無を言わせない笑顔に勢い良く首を縦に振った。 仕方なしに周りを見渡すと、更衣室と手書きの看板を発見。 そして近くにいたクラスメイトに声を掛ける。 『此処って、』 「はい。お着替えされますか?零様。」 こくりと頷くと中へと促された。 どうやらカーテンで仕切られているだけらしい。 外からの声がだだ漏れだ。 「零様が着替え中です!近づかない様に!」 「なに!零様が!?」 「あの衣装は私がデザインしたのっ。」 「きっと素敵なんだわ!早く見たい!」 聞きたくなくても自然と会話が耳に入ってしまって、着替え終わったはいいけど出にくくなった。 どうしたものかと悩んでいたら外から声が掛かった。 「零、終わった?」 『…まぁ。だけど、』 言い終わらない内に勢い良くカーテンが開く。 其処に居たのは案の定媛乃。 カーテンを開けた瞬間、クラスメイト全員が此方に目を向けたのを見て、顔が引き攣った。 *前次# |