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しん、と静まる教室。
途端沸き上がる黄色い声に思わず耳を塞ぐ。



「かっ、可愛すぎるよれーちゃんっ!!!」

『ぅ、わ。』



勢い良く抱きついて来た月を受け止め、頭を軽く撫でる。

媛乃を見ると、何かをぶつぶつ呟いていた。


……近づきたくないなぁ、もう。

不意に此方を向いたかと思えばずずいと迫ってきた。



『な、なに…?』

「明日、期待してるわ。」

『へ?』

「クラス優勝したら商品があるらしいから。頑張りましょう、零。」

「僕も頑張る!」



意気込むクラス全体にまたもや口許がひくつく。

明日なんか来なければいいと思ってしまった。



「因みにメイドの言葉も勉強してもらうから覚悟してね?」



笑顔でそう言う媛乃の目は本気だった。

……なんでよりによってメイド喫茶…。泣きたい…。






















迎えた次の日の朝。
メイド服を渡された瞬間に頭痛がした。

媛乃を前にして、今や非力になってしまった私に逃げる術はなく、仕方なしに手作りの更衣室に入る。



『はぁ……。』



思わず吐いてしまった溜息。
昨夜みっちりとメイドのなんたるかを叩き込まれたから寝不足だ。

あー、出たくないなぁ。


外で待ってるであろう媛乃に月、それからクラスメイトを思うとすごく疲れる。







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