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「鈴蘭の君が1人でいるなんて俺達ぁ、ツいてんなぁ。」
「ひっ…、さ、触らないで!」
訳の分からない事を言ったかと思えば、突然1人が肩に触れてきた。
ぞわっ、と鳥肌が立つ。
僕の反応にげらげらと下品に笑う4人組。
……もう我慢の限界だ…。
耳にしてあるピアスに手を掛けようとしたその時。
「うわっ!?」
「な、なんだっ?」
強い風が吹いた。
そして僅かに力の気配。
正しく魔族の仕業だろう、と辺りを見渡すが誰も居ない。
気のせい…?
男達も気付いていないみたいだし、僕の気のせいだったのかもしれない。
「おい。」
「や、やめてよ!」
漸く風が止んだが、意識を僕に戻した男が、再び僕の肩に触れた。
抵抗するとがつん、と頬を殴られた。
「いっ、つ……。」
『今のは、一方的な暴力行為。』
頬を殴られた衝撃で頭が可笑しくなったのか、あの人の声の幻聴が。
男達の隙間から見えた、整ったあの人の幻覚まで…。
『…まったく、こんな場面に遭遇するのもマスターのせいだ。』
ぽつりと呟かれた言葉は誰の耳にも入らない。
男達を睨みつけているであろう冷たい目に、僕まで足が震える。
『貴方達4人を、拘束する。』
「っ、…は、黒薔薇の君にも出会えるとは、よっぽど俺達はツいてるらしいな。」
『ああ、そう。それはよかった。』
「分かってんのか。こっちは全員魔族だ。」
ぐっ、とあの人の眉間に皺が寄る。
貴様等こそ分かっているのか。
あの人は"あの"ゼロ=クラウンだぞ。
唸る様に後ろから睨みつけていても、蓬来零様に夢中な男達は気付かない。
『花蔓、目的(ターゲット)を拘束。』
「う、ぐぅっ…、」
蓬来様に向かって行った男達は呆気なく蔓によって捕まった。
冷徹な瞳は未だ変わることはない。
「大口叩いてた割には随分呆気なかったね。」
『……見てたの。』
「零がピンチの時に助けてやろうと思ってな。」
物陰から出てきた見覚えある2人に驚く。
男達も驚いている様だ。
初めに男達を見てせせら笑うのが、中等部風紀委員の香蓬院翠。
次に蓬来様に声を掛けたのが、中等部風紀副委員長の一ノ瀬雅臣。
2人共、中等部の人気者だ。
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