[携帯モード] [URL送信]

その他
伝えたいこと[うたプリ トキ音]


──夜も更けきった深夜2時。

ガチャリと遠慮がちに開けられた扉の音に、
微睡みから目覚める。


(…トキヤ…帰ってきたのかな…?)


気配を探ろうと、身じろぎ一つせず、耳をたててみる。

聞こえてきたのは荷物を地面に降ろす音と──深いため息。

疲れているのだろうか…いや、疲れているに決まっているはずだ。

ここ数日、帰宅は必ず日付が変わってから。
それでも朝は自分より早く起き、朝ごはんを作り、早く登校する。


(…体、壊しちゃうよ…トキヤ。)


──ばたん、と先程入ってきたところとは違う扉が閉まる音。

音の主が部屋から出て行ったと分かると、すぐに体を起こし、部屋を見渡す。

そこには置かれたカバンが1つあるだけ。

そして、そばにあった着替えやタオルが消えていた。


(…お風呂かな?)


なんとなく嫌な予感がして、ベッドから抜け、浴室への扉を開ける。

嫌な予感は当たっていた。


「トキヤっ!?」

「……っ」


開けてすぐに見たものは、いつもの無表情を歪め、床に座り込む同室人の姿。

普通じゃないこの様子に、自身も座り込み、必死に様子を探ろうとする。


「どうしたの、大丈夫…なわけないだろうけど…えっと…救急車!?110番!?」

「…落ち着いてください…頭に響きます…っ」


小さな牽制。

いつも通りを装って掛けられた言葉に、少し落ち着きを取り戻す。

当のトキヤは、目を固く閉じたまま辛そうな表情を浮かべ続ける。


「…頭、痛いの…?」

「…目眩がしただけですから、お気になさらず…。
起こしてしまってすみません、早く寝てください。」


追い払うかのように放たれた言葉にむっとし、トキヤの顔を両手で挟み、上を向かせる。


「音…?」

「トキヤのばかっ!何でこんなになるまで何も言わないんだよ!?」


普段とは正反対の、今まで見たことのない剣幕で怒る音也に対して、
呆気に取られたような表情を浮かべるトキヤ。


「バイトが大変なのも分かるけど、自分の体壊したら元も子もないでしょ!
頭いいのに、何で分からないかな!?」


ひとしきり声を荒らげた後、力なくトキヤの胸に寄りかかる。

嗅ぎなれている匂いに安心しながらも、理由のわからない悲しさに包まれて…


「トキヤは…一人で抱え込みすぎだよ。
少しは俺を頼ってよ…そりゃあ役に立たないかもしれないけどさ…」

「音也…」

「俺はトキヤに言いたいこととか、伝えたいこととか、沢山あるのに…いつもいなくて…っ」


そこで急に詰まる言葉。

小刻みに震え始める肩が、何を言いたいかを物語っていた。


「…淋しい思いをさせてしまって、すみません。」

「…っ、それだけじゃないよばかトキヤぁっ!!」


堰を切ったように溢れ出す涙と言葉。

どちらも全て受け止めようと、トキヤはその体を自らの両手で包み込む。


「寂しかったのもあるけどっ…それよりも心配で…!
朝起きたら…疲れが取れてないまま支度するトキヤがいて…っ
どうしたら、俺の言いたいこと伝わるかなって…思っ…!」


「…わかりました。
…本当に、迷惑を掛けてしまって申し訳ありません。
あなたの言葉、しっかりと受け取りました。」


ぎゅっ…と。

久しぶりに抱きしめられる感触に、涙がさらに溢れ出てきて…


「…いつまで泣くんですかあなたは。
いい加減泣きやんで寝なさい…明日の授業、目が腫れたまま受けるんですか?」

「ぅ…っい、いもん…トキヤと休む…」

「私は休みませんよ!?」


やっと交わせたいつもの会話。

伝えたいことが伝えられない…こんな事がこんなにも辛いことだなんて知らなかった。


──伝えたいことを、すぐに伝えられる距離にいて…












久々すぎる_(:3)_

流ですこんばんは。
うたプリブームやばいですよ藍ちゃん藍ちゃん_(:3)_

ちまちま書いていきますね←



[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!