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その他
とある新選組の平和な一日


「──…っあ〜、終わったー…」

天気の良い、午後。
昼食も済み、自室に篭ってひたすらに文書をしたためていた土方は、作業が終わった解放感からそのまま床に寝転ぶ。

(って、大分時間かかっちまったな…)

作業開始前と現在の空の色の違いを見て、自分が如何に集中して作業していたかを知る。
丁度頭上付近で燦々と輝いていた太陽は、大分傾いており、夕焼けに近いものが顔を出していた。

「…茶を頼むか…っと。」

そういえば使いに出したんだ…と、いつも茶を淹れてくれる少女の姿を思い浮かべる。仕方なく、自分で淹れに行こうと、数刻振りに立ち上がり、部屋を出る。

歩いていると、座っていたお陰で凝り固まった足腰が痛み出す。俺ももうそんな歳か…そんな考えに至り、自然と苦笑が漏れる。

(…他に飲むやつは…広間に行けば誰かしら居るだろう。)

珍しく気分がよく、他のやつの分の茶も淹れてやろうと、広間へ足を向ける。
そういえば今日は静かだな…と、普段の三馬鹿や総司の騒がしさを感じない土方は、表に出すことはないが、内で不思議に思う。


──ガラッ…

「おい、誰か…っと…」

広間の襖を開けた土方が見たものは、とてもではないが珍しく、言葉を失うようなものであった。

(おいおい…皆揃って昼寝かよ…(汗))

出掛けている近藤と山南以外の見慣れた顔が、一同に介しているだけでも珍しいというのに。

そこでは皆が皆、思い思いの体勢で、開けられた襖から漏れる日の光を浴びなから眠っていた。
しかも驚くことに、気配に聡い総司さえもが、襖が開いたのに目を覚まさなかった。

(…酒の匂いはしねぇし…本当に寝てんのか?)

不審に思い、一番近くで眠っている平助のそばでしゃがんで見る。規則正しい呼吸音、時折漏れる幸せそうな声に、昼寝という言葉以外が浮かんでこなくなる。

「…にしても…」

凄く性格の分かる寝相だ…と、思わずにやけながら思う。
奥にいる原田と永倉は床に寝っ転がり手足を拡げて、相当な陣地を確保しているのに対し、
壁際に座り、仲良く肩を並べて寝ている斎藤と総司は、常に臨戦態勢である。
そして入口すぐのところに寝転んでいる平助は、苦しくないのだろうか…と、こちらが不安になるような寝方…俯せであった。

(総司…はともかく、斎藤もか…)

人前で隙を見せるなどということはない斎藤までもが、総司の肩に頭を乗せるようにして眠っている。隣の総司も、それを支えるように、軽く斎藤の方へ頭を傾けていた。

(…ふっ。たまにはいいな…)

静かに中に入り、襖をそっと閉める。そばの平助が軽く呻いたが、直ぐに寝息が聞こえてきて、ほっと安心する。

皆の姿が見渡せる壁際に座ると、あることに気がついた。

(…幸せそうじゃねぇか。)

普段見せることのない表情。彼らの雰囲気も、柔らかなものとなっているように見えた。
襖越しに差し込む日光により、徐々に睡魔が襲い来る。近藤さんたちを迎えないと…だから少しだけ、と自分に言い聞かせ、土方はそっと目を閉じた。










「…山南くん、ご覧、皆揃って…」

「…おやおや。静かだと思ったらこんなところに皆で…」

「山崎くんに、夕飯を遅らせるよう頼んでくるとしよう。…珍しく、トシも一緒に寝ていることだしな。」

「そうですね。今日くらいはゆっくりさせてあげましょう。」












「…さん…じ…さん…」

「…ん…」

「ひーじかーたさん!そろそろ起きてくださいよ!」

「総司、あまり乱暴にするな。副長の目覚めが悪くなる。」

「…あー?総司に斎藤…、俺は…」

「土方さん、いつ此処に来たんです?全然気づかなかった…」

「…それだけ、皆疲れていたのだろう。夕飯の支度が出来ております故、お席に。」

「あぁ。ありがとな。」

「…土方さんが謝ったー。鬼の撹乱だー。」

「おい、どういう意味だ総司!」

「副長、総司、お待ちに…!」



「やはり、これくらい騒がしいほうが良いな!」

「そうですね。こうでなくては…」




そんな新選組の一日。














THE☆思いつき\(^o^)/
最後のほうは私が大好きな土沖斎を詰め込みましたテヘペロ←






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あきゅろす。
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