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夏ホラーレビュー
きよこ「夏祭りは恐怖を連れ帰る」
彼女にしかないルールがある。
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 因習というものは地方に根付き、時と共に神格化する。守らなければ悪いことが起きるのではないかという、理屈に関係のない恐怖が生まれるものだ。
この作品はそんな因習を根幹に置くことで、人間には計り知れない恐怖を演出している。その恐怖と戦うことはできない。相手は何故なら、神格化し、精神に巣くっているのだから。
 十六歳になるまでは行ってはならないと伝えられている祭りがある。主人公は好奇心に負けて、決まりを破って祭りへと向かうという設定から始まるストーリーは、祭り、着物、人柱という風に、日本に古くからあるものを絡めながら進んでゆく。王道だが、王道ゆえに確固たる畏怖を持っている。
 キーポイントとなるアイテムは人形。古くから伝わる黒髪の人形は、愛くるしい姿ながら、不思議な威圧感を持っている。まるで彼らに彼らなりの思想や感性があり、無言のままそれを訴えているように。彼らもまた、神格化された存在なのかもしれない。



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あきゅろす。
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