[携帯モード] [URL送信]

夏ホラーレビュー
瀬戸 孝輝「ひまわり館」

その依頼は、真の恐怖に続いていた。
読む

 今回、作者は二本の夏ホラー作品に挑戦している。その二本とも登場人物が探偵なのだが、ずいぶんと作風が違う。一本はコメディ、またはミステリの色合いが濃く、もう一本は……。
 研ぎ澄まされたナイフのようなホラーが、この作品だ。

 主人公は探偵で、メールからも依頼を受けている。ある日、妙な依頼を受けることになるのだが、「心霊スポットに出かけて帰ってこなくなった友人たちを探して欲しい」という、行方不明者探しの依頼にしては実に奇妙なものであった。そして依頼に書かれた体験談はそらおそろしいもので。

 読者は作者のメールから恐怖を辿っていくという、とても間接的に物語を楽しんでいくことになります。こう書くと、読者意識から遠いので恐怖はさほどないだろう、と感じるかもしれません。
 ですがこれ、とても怖いのです。想像のフィルターを何層も通すことによって、恐怖の鋭さが増しています。ラジオの実況中継を聞いているような、不思議な親密さ、今起こっているのではないかという錯覚を味わえる。とても巧みな構成を持った作品です。

 研ぎ澄まされた恐怖、ぜひ体験してください……。


[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!