夏ホラーレビュー
結城陸空「死者多数」
僕には人の、『死』が見える。
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昨年の夏ホラーでは「富士の樹海で殺人に関する大規模な実験が行われる」というダイナミックな設定と展開で読者の度肝を抜いた、作者。日々枯れることの無い発想の泉をフルに噴き出し、様々なホラー作品を手がけている。恐怖に関する実力は折り紙つきだ。
そんな作者が今回用意したのは、他に類をみない、逃れることの出来ない、絶対的な恐怖世界。
主人公にはある特異な能力があった。人の死を判別できる能力。
自分自身の力ゆえに逃れることの出来ない恐怖。それに恐れおののき、主人公は出来る限り、自分以外の人間を見ないように日々を過ごしていた。
そんなある日、事件は起こる。
とても魅力的な設定から始まるこの物語だが、実はたった2000文字の短いものだ。作品の短さを感じさせず、ドカンと読者の印象に残るに残るに違いないラストを用意している。安心して読んで欲しい。
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