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夏ホラーレビュー
春野天使「呪いの手」
呪われた幼少。
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 両親の離婚をきっかけに戻ることのなかった田舎。久々に戻ってきた主人公は、不思議な体験をしたある夏の日のことを思い出す。小学生のころ友人と行った、古く寂れた神社。その小さなお堂には『呪いの手』と呼ばれる鬼の手が奉られているという。呪いの手を見たものは三日後に死ぬ……主人公は神社の古くからの言い伝えを信じ怖がるが、友人は一人、小さなお堂に入って行ったのだった。

 幼い頃に持っていた独特の感性を思い起こさせる純粋な文章。誰もが童心に返りながらこの物語を楽しむだろう。子供の頃にしたとても小さな、だが子供にとっては大冒険だった、あの旅路が甦り、きっと読者はワクワクせざるおえないに違いない。しかしその好奇心こそが罠なのだ。
 懐かしい過去で読者をときめかせてはいるが、実を言うとこの作品、和製ホラーに最も正面から取り組んでいる。夢想的な思いを楽しんだ後に、あなたは初めて迷い込んでしまったことに気付くだろう。だけどそのときにはもう遅い。
 春野天使はこの作品では、春野悪魔なのだ。

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