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夏ホラーレビュー
yoshina「目目目目目」
ずっと、見られている。
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 お札という、身近なアイテムをうまく使ったとても「うまい」作品。
 思えばお札は、人の手から人の手へと渡っていく。そして前の持ち主を知らない場合が多い。
 かなり使用頻度が高く、時には何十枚も何百枚も見ることがある。そしてそれを一生繰り返すのだから、人一人が触れるお札の量はとんでもないに違いない。それなのに多くの場合、前の持ち主を知らないというのは、よくよく考えたら奇妙な話だ。

 仏壇に置いていた一万円札。その一枚、福沢諭吉の肖像画の目が動いた。どうやらそれは主人公を監視しているらしい。少しずつ主人公の精神は壊れていくのだが。

 やがて読者は主人公やその友人と共に、お札の謎に迫っていくことになる。全てを読み終わったとき、貴方はどのように感じるだろう?
 きっと、財布の中のお札、その視線が気になるに違いない。何故なら貴方が次の主人公にならないという確証はないからだ……。

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あきゅろす。
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