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夏ホラーレビュー
まったりorz「夏の夜の幻想」
もしかしたら、導かれたのか。
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 居場所を見つけられず社会から半分ドロップアウトした主人公は、親に提案されて気分転換に田舎へと出向くこととなる。そこで祖母に出会い気持ちが徐々に回復するのだが。

 ホラーというよりも文学、それも上質な文学を読んでいるような感覚。それほどに描写が豊かで、静かな情熱に溢れている。
 小説を介して覗き込む主人公の人生もまた、文学的な戸惑いや気まずさを持ち合わせている。

 しかしその美しい文章たちの奥底にあるのは、得体の知れない闇だ。正体が不明で、その先に何があるのか分からない。そんな闇が、じっと主人公を、そして読者を見据えている。
 よくよく考えたらとんでもなく怖い、近づいてはいけない闇。その恐怖が輝くばかりに整った文章によって、畏怖や悲壮といった、気品のある感情へと高まっているのだ。
 文学でありホラー、ホラーであり文学。ふたつの魅力がこの作品には存在する。

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あきゅろす。
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