[携帯モード] [URL送信]

夏ホラーレビュー
御谷 朋「夢蜘蛛」
その縄張りに入った以上、恐怖は体感しなければならない。
読む

 主人公たち三人は、肝試しと称して古教会への探索を試みるのだが、それは普通の館ではなかった。それは蜘蛛の館であり、主人公たちは簡単に囚われてしまうのだった。

 三人称一人称変換型なる初めての手法を取り組んだ、そう作者が語る意欲性に溢れた小説。文章、キャラクターともライトな印象で、どこか漫画的な技法を感じる、躍動さも持つ。

 しかし明るい作風に油断していると、中盤に入る残酷な描写、不気味な展開に驚くだろう。まさに蜘蛛の糸。きらきら光っているのでなんだろうと足を向けてみると、体中にべっとりと絡みつく気持ち悪さ。
 そして更には、思いもよらないラストがじりじりと近寄り、襲ってくる。

 あなたはこの糸から逃れられない。




[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!