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夏ホラーレビュー
弥招 栄「夜香毒花」
エロティックに狂ってく。
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 ホラーにはエロスがつきものだ。
 ホラーは暴力であり、誰かを恐怖に陥れることを目的とする。そのサディスティックな目的は、性的な欲求ととても相性が良いのだ。怯える者の目を見て優越に興奮を覚えるとき、その興奮はセックスの熱っぽさととても良く似ていて、人は性的な快楽を覚える。

 そんな二要素をうまく調理したのがこの「夜香毒花」である。
 主人公は夜の街である美しく妖艶な女性と出会い、運命的に肉体を交える。しかしその女性は、ただならぬ性癖を持っていた。

 エロティックな魅力をふんだんに放ちながら、時に理知的に、ときに巧みに読者を引き込み、陶酔させていく。そしてホラー小説らしく、落とす。
 甘い香りを出して獲物を誘い込む食虫植物のように読者を飲み込んでしまう様は、実に見事だ。

 あなたも酔いしれながら、地獄に堕ちてみないか?

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