夏ホラーレビュー 百合茶「黒猫の予感」 してはならないことがある。 読む もしもこうだったら、もしもそうだったら。様々なキャラクターのIF(もしも)が交錯する不思議なホラーだ。数々の鮮烈で映像的なエピソードが絡み合い、収束する。そしてもしもはやがて、予想だにしない真実へと結びつくのだ。 主人公はある日、不吉の象徴である黒猫を轢いてしまう。 黒猫が前を横切ると不吉なことがおきる、ならば黒猫を轢いてしまったらどのようなことが起きるのか。そのことを考えるうちに、主人公は迷ってはならない記憶に迷い込んでしまう。 黒猫を軸に疑問を浮かべ、その疑問を更に軸にして、不吉という一言では片付けることの出来ない深みにはまってしまう主人公。そうして見つけた疑問への解答は真実なのだが、真実にしてはあやふやで、まるで黒猫に用意されたような不安に落とされる。 読み終わった後に不気味な感覚が漂う、異質のホラーだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |